ビブリア古書堂の事件手帖Ⅲ

~扉子と虚ろな夢~

春の霧雨が音もなく降り注ぐ北鎌倉。古書に纏わる特別な相談を請け負うビブリアに、新たな依頼人の姿があった。ある古書店の跡取り息子の死により遺された約千冊の蔵書。高校生になる少年が相続するはずだった形見の本を、古書店の主でもある彼の祖父は、あろうことか全て売り払おうとしているという。なぜ―不可解さを抱えながら、ビブリアも出店する即売会場で説得を試みる店主たち。そして、偶然依頼を耳にした店主の娘も、静かに謎へと近づいていく―。

三上延著 KADOKAWA 737円(税込)

きたきた捕物帖

十六歳の北一は、亡くなった岡っ引き・千吉親分の本業だった文庫(本や小間物を入れる箱)売りで生計を立てている。やがて自前の文庫を作り、売ることができる日を夢見て。ちょっと気弱で、岡っ引きとしてはまだ見習いの北一が、相棒となる喜多次と出逢い、親分のおかみさんなど、周りの人に助けられながら、事件や不思議なできごとを解き明かしていく物語。宮部ワールドの要となる新シリーズ、待望の文庫化。

宮部みゆき著 PHP研究所 968円(税込)

悪の包囲 ラストライン5

岩倉の犯罪に対する異様な記憶力を研究材料にすべく執拗につきまとっていたサイバー犯罪対策課の福沢が殺された。事件の直前に衆人環視の中で福沢と小競り合いを演じた岩倉は、容疑者扱いされ捜査本部から外される。身の潔白を証明すべく独自に捜査する岩倉。やがて事件の背後に謎の武器密売組織METOの存在が浮かび上がる。

堂場瞬一著 文藝春秋 880円(税込)

珈琲店タレーランの事件簿 7

全国高校ビブリオバトルの決勝大会にて、プレゼンの順番決めの抽選でトラブルが発生。くじに細工をしたのはいったい誰か。話を聞いていたバリスタの口から、思わぬ真実が告げられる(「ビブリオバトルの波乱」)。ほか、ハワイ旅行をめぐるオカルト譚「ハネムーンの悲劇」、幼少期の何気ない思い出に隠された秘密が暴かれる「ママとかくれんぼ」など、ショート・ショートも含む全7話を収録。

岡崎琢磨著 宝島社 730円(税込)

あきない世傳 金と銀12 出帆篇

浅草田原町に「五鈴屋江戸本店」を開いて十年。藍染め浴衣地でその名を江戸中に知られる五鈴屋ではあるが、再び呉服も扱えるようになりたい、というのが主従の願いであった。仲間の協力を得て道筋が見えてきたものの、決して容易くはない。因縁の相手、幕府、そして思いがけない現象。しかし、帆を上げて大海を目指す、という固い決心のもと、幸と奉公人、そして仲間たちは、知恵を絞って様々な困難を乗り越えて行く。源流から始まった商いの流れに乗り、いよいよ出帆の刻を迎えるシリーズ第十二弾!!

髙田郁著 角川春樹事務所 704円(税込)

光る海

新・酔いどれ小籐次 22

森藩藩主の命により、参勤交代に先行して国許の豊後国を訪れることになった小籐次。降って湧いた千両の使い道に頭を悩ませながらも、元服して「平次」の名を得た息子・駿太郎、妻・おりょうとともに江戸を留守にする。三河国で子次郎・薫子姫との再会を喜ぶ一家だったが、姫の身にまたしても危険が迫っていることを知り…。

佐伯泰英著 文藝春秋 814円(税込)

カエルの小指

「久々に、派手なペテン仕掛けるぞ」詐欺師から足を洗い、実演販売士として生きる道を選んだ武沢竹夫に、訳ありの中学生・キョウからとんでもない依頼が。母親が残酷な詐欺被害にあったのを境に、厳しい現実を生きることになったキョウ。武沢は彼女を救うため、かつての仲間を再集結、大仕掛けを計画する。

道尾秀介著 講談社 924円(税込)

奔走

勘定侍柳生真剣勝負<五>

柳生家の瓦解を企む老中・堀田加賀守が張り巡らせた罠をことごとくすり抜けた、勘定方の淡海一夜。なおも敵に体勢を立て直す余裕を与えまいと、不意打ちの如く加賀守の屋敷まで赴き、驚愕の密約を持ちかけた。三代将軍・家光の寵愛を独り占めにしたい加賀守。一刻も早く士籍を捨て帰坂、唐物問屋を継ぎたい一夜。互いに利を見出す密約の中身とは?一方、十兵衛は柳生の郷を出て大坂へと向かい、宗矩は家光から命じられた会津藩加藤家への詭計を画策する。さらに一夜をともに慕う、信濃屋の長女・永和と女伊賀忍・佐夜が、相まみえる!乾坤一擲の第五弾!

上田秀人著 小学館 770円(税込)

イクサガミ天

明治十一年。大金を得る機会を与えるとの怪文書により、強者たちが京都の寺に集められた。始まったのは、奇妙な「遊び」。配られた点数を奪い合い、東海道を辿って東京を目指せという。剣客・嵯峨愁二郎は十二歳の少女・双葉と道を進むも、強敵が次々現れ―。滅びゆく侍たちの死闘、開幕!

今村翔吾著 講談社 770円(税込)

いのちの車窓から

ドラマ「逃げ恥」「真田丸」、大ヒット曲「恋」に「紅白」出場と、怒涛の日々を送った約2年間。大注目を浴びるなかで、紡いできたのはある日の風景、周囲の人々、心の機微―。星野源が2017年まで雑誌で毎月執筆してきた大人気エッセイを収録。文庫版では10ページにわたる「文庫版あとがき」を書き下ろし。

星野源著 KADOKAWA 660円(税込)