異変ありや

武者修行中の嫡子・空也の身を案じる江戸の坂崎磐音のもとに、長崎会所の高木麻衣から文が届く。酒匂太郎兵衛との勝負の末、瀕死の重傷を負った空也は、出島で異人外科医の手当てを受けたものの、意識が回復しないという。懸命の介護を続ける麻衣のもとを高麗の剣術家が訪れ、二日間、空也とふたりだけにしてほしいと願い出る。

佐伯泰英著 文藝春秋 814円(税込)

そして、バトンは渡された

幼い頃に母親を亡くし、父とも海外赴任を機に別れ、継母を選んだ優子。その後も大人の都合に振り回され、高校生の今は二十歳しか離れていない“父”と暮らす。血の繋がらない親の間をリレーされながらも出逢う家族皆に愛情をいっぱい注がれてきた彼女自身が伴侶を持つとき―。大絶賛の本屋大賞受賞作。

瀬尾まいこ著 文藝春秋 814円(税込)

ピーク

17年前、新米記者だった永尾は野球賭博のスクープを放つが、その後はパッとせず「一発屋」と自嘲する日々を送る。そんな時、自分の記事がもとで永久追放された“幻のエース”と再会する。彼は、殺人罪の容疑で法廷に立っていた。取材を始めた永尾は不審なことに気づき…。

堂場瞬一著 朝日新聞出版 902円(税込)

隠し絵

 風烈廻り与力・青柳剣一郎 56

「馬と猪に目を向けるように」青柳剣一郎は、見知らぬ男から錦絵を託された。そこには黄金の茶釜を囲む羽織姿の竜、頬被りをした猿など十二支の動物が描かれていた。直後、なぜか男は姿を晦ましてしまう。同じ頃、二人の町人が同様の手口で殺された。剣一郎が彼らの名に馬と猪の字があるのに気づくと―男は何者か?絵に隠された真意とは?謎に迫る中、新たな殺しが!

小杉健治著 祥伝社 792円(税込)

ボーダーズ

銀行殺人事件の被害者は、犯人の大学同級生。警視庁SCUの八神は真相を追い……。特殊能力捜査班の活躍を描く、文庫書き下ろしの警察小説新シリーズ。

堂場瞬一著 集英社 990円(税込)

ノースライト

北からの光線が射しこむ信濃追分のY邸。建築士・青瀬稔の最高傑作である。通じぬ電話に不審を抱き、この邸宅を訪れた青瀬は衝撃を受けた。引き渡し以降、ただの一度も住まれた形跡がないのだ。消息を絶った施主吉野の痕跡を追ううちに、日本を愛したドイツ人建築家ブルーノ・タウトの存在が浮かび上がってくる。ぶつかりあう魂。ふたつの悲劇。過去からの呼び声。横山秀夫作品史上、最も美しい謎。

横山秀夫著 新潮社 935円(税込)

彼女が最後に見たものは

クリスマスイブの夜、新宿区の空きビルで発見されたホームレスの女性の遺体。千葉県で男性が刺殺された未解決事件との接点があり…。不可解な二つの事件を三ツ矢&田所が追う。理不尽な死と家族崩壊を描くミステリ。

まさきとしか著 小学館 858円(税込)

またあおう

お江戸は日本橋。長崎屋の跡取り息子、若だんなこと一太郎の周りには、愉快な妖たちが沢山。そんな仲間を紹介しようとして楽しい騒動が起きる「長崎屋あれこれ」、屏風のぞきや金次らが『桃太郎』の世界に迷い込む「またあおう」、若だんなが長崎屋を継いだ後のお話で、妖退治の高僧・寛朝の形見をめぐる波乱を描く「かたみわけ」など豪華5編を収録した、文庫でしか読めない待望のシリーズ外伝。

畠中恵著 新潮社 649円(税込)

ナナメの夕暮れ

恥ずかしくてスタバで「グランデ」を頼めない。ゴルフに興じるおっさんはクソだ!―世の中を常に“ナナメ”に見てきた著者にも、四十を前にしてついに変化が。体力の衰えを自覚し、没頭できる趣味や気の合う仲間との出会いを経て、いかにして世界を肯定できるようになったか。「人見知り芸人」の集大成エッセイ。

若林正恭著 文藝春秋 759円(税込)

キンモクセイ

法務官僚殺害の容疑者として、アメリカ人の殺し屋の可能性が浮上。警察庁警備局警備企画課のキャリア・隼瀬順平は、専任チームでの対処を上司から命じられるが…。「キンモクセイ」とは何か?誰が味方で敵なのか?警察インテリジェンス小説の傑作。

今野敏著 朝日新聞出版 792円(税込)