日本史を暴く 戦国の怪物から幕末の闇まで

歴史には裏がある。古文書を一つずつ解読すると、教科書に書かれた「表の歴史」では触れられない意外な事実が見えてくる。明智光秀が織田信長を欺けた理由、信長の遺体の行方、江戸でカブトムシが不人気だった背景、忍者の悲惨な死に方、赤穂浪士が「吉良の首」で行った奇妙な儀式、漏洩していた孝明天皇の病床記録…。古文書と格闘し続ける著者が明らかにした、戦国、江戸、幕末の「歴史の裏側」がここにある。

磯田道史著 中央公論新社 924円(税込)

三千円の使いかた

就職して理想の一人暮らしをはじめた美帆(貯金三十万)。結婚前は証券会社勤務だった姉・真帆(貯金六百万)。習い事に熱心で向上心の高い母・智子(貯金百万弱)。そして一千万円を貯めた祖母・琴子。御厨家の女性たちは人生の節目とピンチを乗り越えるため、お金をどう貯めて、どう使うのか?

原田ひ香著 中央公論新社 770円(税込)

シーソーモンスター

バブルに沸く昭和後期。一見、平凡な家庭の北山家では、元情報員の妻宮子が姑セツと熾烈な争いを繰り広げていた。アナログに回帰した近未来。配達人の水戸は、一通の手紙をきっかけに、ある事件に巻き込まれ、因縁の相手桧山に追われる。時空を超えて繋がる二つの物語。「運命」は、変えることができるのか―。創作秘話を明かすあとがき収録。

伊坂幸太郎著 中央公論新社 924円(税込)

幸福とはなんぞや

すべて成るようにしか成らん。不愉快なことや怒髪天をつくようなことがあってこそ、人生は面白い。死ぬことも怖くないし、貧乏も怖くないし、どん底をくぐり抜けるということはありがたいことだった。生きるとは、老いるとは、死とは、幸福とは……。読めば力が湧く、愛子センセイのメッセージ。

佐藤愛子著 中央公論新社 1,100円(税込)

任侠楽団

義理人情に厚いヤクザの親分・阿岐本雄蔵のもとには、一風変わった経営再建の話が次々舞い込んでくる。今度は公演間近のオーケストラ!? ヤクザということがばれないように、コンサルティング会社の社員を装う代貸の日村。慣れないネクタイを絞めるだけでもうんざりなのに、楽団員同士のいざこざが頻発する。そんな中、指揮者が襲撃される事件が発生! 警視庁捜査一課からあの名(?)刑事がやってきて……。

今野敏著 中央公論新社 1,760円(税込)

物語 ウクライナの歴史

ロシア帝国やソヴィエト連邦のもとで長く忍従を強いられながらも、独自の文化を失わず、有為の人材を輩出し続けたウクライナ。不撓不屈のアイデンティティは、どのように育まれてきたのか。スキタイの興亡、キエフ・ルーシ公国の隆盛、コサックの活躍から、一九九一年の新生ウクライナ誕生まで、この地をめぐる歴史を俯瞰。人口五〇〇〇万を数え、ロシアに次ぎヨーロッパ第二の広い国土を持つ、知られざる「大国」の素顔に迫る。

黒川祐次著 中央公論新社 946円(税込)

犬の報酬

大手メーカー・タチ自動車は自動運転実験中に衝突事故を起こす。警察は発表しなかったが、数日後、この事故の記事が東日新聞に掲載される。情報はどこから漏れたのか?総務課係長の伊佐美を中心に「犯人探し」のチームが発足するが…。新聞記者、内部告発者、そして「社畜」。それぞれの正義が交錯する、圧巻の経済小説。

堂場瞬一著 中央公論新社 946円(税込)

愛なき世界 上・下

上巻 恋愛・生殖に興味ゼロの院生・本村紗英に、洋食屋の見習い・藤丸陽太が恋をした。殺し屋のような教授、サボテン一筋の後輩男子に囲まれ、本村は愛しい葉っぱの研究に没頭中。実験やイモ掘り会に潜り込む藤丸の想いは花開くのか。「知りたい」という情熱を宿す人々の愛とさびしさが心を射る長編。(全二巻)。特別付録「藤丸くんに伝われ 植物学入門(上)

葉っぱの実験をこつこつと続ける院生・本村紗英を、どん底に叩き落とした大失敗。研究仲間(変人集団)も戸惑うなか、窮地に光を投げかけたのは料理人・藤丸の反応で―。人生も、実験も、筋書きがないから面白い。世界の隅っこが輝き出す日本植物学会賞特別賞受賞作。(全二巻)。特別付録「藤丸くんに伝われ 植物学入門(下)

疼くひと

女のままでいたい。たとえどんなに孤独でも。―脚本家・唐沢燿子は古稀を迎え、日に日に「老い」を感じていた。しかしSNSで年下の男と出会い、生活が一変する。男の言葉に一喜一憂するうちに、身も心も溺れていく燿子。人生後半から燃え上がる、大人の恋の行方は…。

松井久子著 中央公論新社 1,760円(税込)

青空と逃げる

深夜、夫が交通事故に遭った。病院に駆けつけた早苗と息子の力は、そこで彼が誰の運転する車に乗っていたかを知らされる……。夫は何も語らぬまま、知らぬ間に退院し失踪。残された早苗と力に悪意と追及が押し寄せ、追い詰められた二人は東京を飛び出した。高知、兵庫、大分、仙台ーー。壊れてしまった家族がたどりつく場所は。

辻村深月著 中央公論新社 880円(税込)