端午の節句のその日、大門前に立った男女。一年余の京での修業を終え、吉原に戻った神守幹次郎と加門麻であった。再会を喜び合う吉原の面々だったが、長い闘いで吉原が失ったものは大きかった。幹次郎は会所を率い、吉原を再生させることを誓う。そんな中、廓で小さな騒ぎが。やがてそれが幕閣を巻き込む大騒動へと発展していく。新しく始まる吉原の運命やいかに。
拝啓、おふくろ
親子であって親子でないような、すれ違っているようですれ違っていないような、おふくろとの関係。ABCラジオの人気パーソナリティが初めて綴った、少年時代と母のこと。著者とその母と長年共に暮らした著者の家族による「義母チヨネさんのこと」「祖母と父の光景」を巻末に収録!
開戦
文庫書下ろし/長編時代小説 惣目付臨検仕る 3
惣目付として、奥右筆、目付に楔を打ち込んできた水城聡四郎に将軍吉宗から新たな命が下った。監察する対象は「大奥」。御広敷用人を務め、経験、知識のある聡四郎ではあったが、かつての“職場”は聡四郎の転任後、元の木阿弥になっていた。そして、大奥に切り込む聡四郎を意外な敵が狙う―。「惣目付」シリーズ、目が離せない激闘が繰り広げられる衝撃の第三弾。
狐色のマフラー
爽香は、勤務する“G興産”に密かに吸収合併の話があることを知る。それには社長・田端将夫の秘書で愛人と噂される朝倉有希が関わっており、何かと目障りな爽香を陥れようとしているらしい。一方、爽香の裸体画を目玉展示とする“リン・山崎展”が計画されている“NK美術館”は、幽霊騒動に揺れていた…。登場人物が読者と共に年齢を重ねる大人気シリーズ!
番士 鬼役伝
時は元禄。赤穂浪士の義挙が称えられるなか、江戸城の門番を務める持組同心の伊吹求馬は、剣術の修行に余念がない。ある日、助っ人で加わった盗賊捕縛で、一つの鍵を手にすることになる。そのことで闇に蠢く勢力が浮かび上がり、目の前に謎の人物たちが現れる。はたして、鍵に導かれた先で求馬を待っていたものとは―。大人気「鬼役」の原点といえるシリーズ開幕!
神のダイスを見上げて
二〇二三年十月、小惑星ダイスが地球に接近。人類滅亡の恐怖に世界が混乱する中、亮の姉・圭子が殺された。残された五日間で復讐を決意した亮は、謎の同級生・美咲の助けを得て、犯人を追うことに。しかし亮や周囲の人間が狙われ、謎は深まり続ける。姉の死の真相と、亮が終末に目にする光景とは? 感動が止まらない、青春と絶望のカウントダウン・ミステリー!
出絞(でしぼ)とかんざし
京北山の北山杉の里・雲ケ畑で、六歳のかえでは母を知らず、父の岩男、犬のヤマと共に暮らしていた。従兄の萬吉に連れられ、京見峠へ遠出したかえでは、ある人物と運命的な出会いを果たす。京に出たい―芽生えたその思いが、かえでの生き方を変えていく。母のこと、将来のことに悩みながら、道を切り拓いていく少女を待つものとは。光あふれる、爽やかな物語。
神様からひと言
大手広告代理店を辞め、「珠川食品」に再就職した佐倉凉平。入社早々、販売会議でトラブルを起こし、リストラ要員収容所と恐れられる「お客様相談室」へ異動となった。クレーム処理に奔走する凉平。実は、プライベートでも半年前に女に逃げられていた。ハードな日々を生きる彼の奮闘を、神様は見てくれているやいなや…。サラリーマンに元気をくれる傑作長編小説。