満月珈琲店の星詠み ~秋の夜長と月夜のお茶会~

淡路島で母を看取った百花。満月の夜、散歩に出かけると、閉まっているはずの遊園地に見知った猫が入っていき……。花巻の祖父母の家で療養する少年、宮島で姉妹関係に悩む女子、人生に迷う人々の近くで、満月珈琲店が開店する。星遣いの猫たちのあたたかな言葉と、美しいイラストが共鳴する大人気書き下ろしシリーズ、第5弾!

望月麻衣著 文芸春秋 770円(税込)

可燃物

太田市の住宅街で連続放火事件が発生した。県警葛班が捜査に当てられるが、容疑者を絞り込めないうちに、犯行がぴたりと止まってしまう。犯行の動機は何か?なぜ放火は止まったのか?犯人の姿が像を結ばず捜査は行き詰まるかに見えたが…(「可燃物」)。連続放火事件の“見えざる共通項”を探り出す表題作を始め、葛警部の鮮やかな推理が光る5編。

米澤穂信著 文芸春秋 1,870円(税込)

赤の呪縛

銀座の高級クラブで放火事件が発生。オーナーと容疑者の女が命を失った。警視庁捜査一課の刑事・滝上亮司が、捜査を進めると、背後に政治家である父の存在が浮かび上がってきた。かつて父を憎み、故郷を捨てた刑事は、封印した「汚れた過去」と向き合わざるを得なくなる。この事件は、父を失墜させるのか、自らの破滅を招くのか。

堂場瞬一著 文藝春秋 924円(税込)

ロータスコンフィデンシャル

外事一課の倉島は、「ゼロ」の研修帰りのエース公安マン。ロシア外相が来日し、随行員の行動確認を命じられるが、同時期にベトナム人の殺害事件が発生。容疑者にロシア人バイオリニストが浮かび上がる。一方、外事二課で中国担当の盛本もこの事件の情報を集めていることがわかる。倉島は、ベトナム、ロシア、中国が絡む事件の背景を探るが…。

今野敏著 文芸春秋 825円(税込)

夢よ、夢 柳橋の桜 四

波乱万丈の旅を経て新しい生き方を探す桜子と小龍太。魚河岸の老舗・江の浦屋5代目が仕掛ける異国交易の仕事の未来と大きさに惹かれる小龍太。小龍太との祝言を前に、船頭の道を進むべきか悩む桜子。そんな中、オランダ人画家コウエルの「二枚の絵」がそれを見た人々を少しずつ変えてゆく-―早朝の柳橋・神木三本桜に願うのは、大きな儲けか、夢の実現か。猪牙強盗の事件の謎の解明、そして未来への希望が詰まった最終巻。四ヶ月連続刊行、壮大なスケールの全四巻がこれにて完結!

佐伯泰英著 文藝春秋 880円(税込)

夜明けのすべて

PMS(月経前症候群)で感情を抑えられない美紗。パニック障害になり生きがいも気力も失った山添。友達でも恋人でもないけれど、同志のような気持ちが芽生えた二人は、自分にできることは少なくとも、相手のことは助けられるかもしれないと思うようになりーー。人生は苦しいけれど、救いだってある。生きるのが少し楽になる、心に優しい物語。

瀬尾まいこ著 文藝春秋 803円(税込)

琥珀の夏

大人になる途中で、私たちが取りこぼし、忘れてしまったものは、どうなるんだろう――。封じられた時間のなかに取り残されたあの子は、どこへ行ってしまったんだろう。

かつてカルトと批判された〈ミライの学校〉の敷地から発見された子どもの白骨死体。弁護士の法子は、遺体が自分の知る少女のものではないかと胸騒ぎをおぼえる。小学生の頃に参加した〈ミライの学校〉の夏合宿。そこには自主性を育てるために親と離れて共同生活を送る子どもたちがいて、学校ではうまくやれない法子も、合宿では「ずっと友達」と言ってくれる少女に出会えたのだった。もし、あの子が死んでいたのだとしたら……。
30年前の記憶の扉が開き、幼い日の友情と罪があふれだす。

辻村深月著 文藝春秋 1,155円(税込)

薔薇色に染まる頃 紅雲町珈琲屋こよみ

一度は売ったものの手放したことを後悔していた帯留めが戻ってきたと、旧知の東京のアンティークショップから連絡をもらったお草。早速その店に向かうが、そこで耳にしたのは顔なじみのバーの雇われ店長が殺されたらしいという話だった。生前に彼と約束を交わしていたお草はそれを実行に移すが、その後、新幹線で何者かに追われている様子の母親と少年と隣り合わせる。そして、その少年を預かることになるが――。
殺された知人、生前の約束と怪しげな現金、最凶の男……。事件の全貌もわからぬまま少年と逃避行を続けるお草は、どこへ行くのか?

吉永南央著 文藝春秋 693円(税込)

極楽征夷大将軍 ☆直木賞受賞作品

謎に包まれた室町幕府初代将軍、足利尊氏の秘密を解き明かす歴史群像劇。動乱前夜、北条家の独裁政権が続いて、鎌倉府の信用は地に堕ちていた。足利直義は、怠惰な兄・尊氏を常に励まし、幕府の粛清から足利家を守ろうとする。やがて後醍醐天皇から北条家討伐の勅命が下り、一族を挙げて反旗を翻した。一方、足利家の重臣・高師直は倒幕後、朝廷の世が来たことに愕然とする。後醍醐天皇には、武士に政権を委ねるつもりなどなかったのだ。怒り狂う直義と共に、尊氏を抜きにして新生幕府の樹立を画策し始める。

垣根涼介著 文藝春秋 2,200円(税込)