52ヘルツのクジラたち

52ヘルツのクジラとは―他の鯨が聞き取れない高い周波数で鳴く、世界で一頭だけのクジラ。たくさんの仲間がいるはずなのに何も届かない、何も届けられない。そのため、世界で一番孤独だと言われている。自分の人生を家族に搾取されてきた女性・貴瑚と、母に虐待され「ムシ」と呼ばれていた少年。孤独ゆえ愛を欲し、裏切られてきた彼らが出会い、新たな魂の物語が生まれる―。

町田そのこ著 中央公論新社 814円(税込)

振り出し 旗本出世双六(一)

書院番の新参がいじめに耐えかね、三名の古参を斬り殺す刃傷事件が起きた。二百二十五石の小旗本で無役の北条志真佑は、番士を一新し再編された組に抜擢され、妹の幸や叔父の相模八左衛門とともに喜んでいた。上泉新陰流を使い、十一代将軍徳川家斉の世子・家慶の力にならんと腕を撫す志真佑だったが…。新シリーズ始動!

上田秀人著 中央公論新社 770円(税込)

滅びの前のシャングリラ

「一ヶ月後、小惑星が衝突し、地球は滅びる」。学校でいじめを受ける友樹、人を殺したヤクザの信士、恋人から逃げ出した静香。そして―荒廃していく世界の中で、人生をうまく生きられなかった人びとは、最期の時までをどう過ごすのか。滅びゆく運命の中で、幸せについて問う傑作。

凪良ゆう著 中央公論新社 902円(税込)

思い出の屑籠

著者が生まれてから小学校時代まで、両親、姉、時折姿を現す4人の異母兄、乳母、お手伝い、書生や居候、という大家族に囲まれた、甲子園に近い兵庫・西畑の時代を、思い出すままに綴る。『血脈』など、著者の自伝的作品では触れられることのなかった秘蔵のエピソードが満載。幼い「アイちゃん」目線で、“人生で最も幸福だった時代”の暮らしぶり、人間模様を活写する。

佐藤愛子著 中央公論新社 1,430円(税込)

ジウX

生きながらにして臓器を摘出された死体が発見された。東弘樹警部補らは懸命に捜査にあたるが、二ヶ月が経っても被害者の身元さえ割れずにいた。一方、陣内陽一の店「エポ」に奇妙な客が集団で訪れた。緊張感漂う店内で、歌舞伎町封鎖事件を起こした「新世界秩序」について一人の女が話し始める。「いろいろな誤解が、あったと思うんです」――。各所で続出する不気味な事件。そして「歌舞伎町セブン」に、かつてない危機が迫る……。

誉田哲也著 中央公論新社 1,870円(税込)

言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか

生活や対話の必需品であり、知性や芸術の源である言語。なぜヒトはことばを持つのか? 巨大システムの言語の起源とは? 子どもはいかにことばを覚えるか? ヒトとAI/動物は何が違うのか? 本書は、「言語の本質」という未踏の山に挑む、探求の旅である。鍵は、オノマトペを足場に、アブダクションという推論を使って梯子を登る、人間特有の学ぶ力だ。認知科学者と言語学者が手を組み、言語の発達の謎に答え、ヒトの根源に迫る。

今井むつみ著 中央公論新社 1,056円(税込)

任侠シネマ

「誠司、映画は好きか?」阿岐本組は、組長の器量と人望で生き残ってきた、昔ながらのヤクザ。そんな組長・阿岐本雄蔵の元に次々と持ちかけられる一風変わった相談に、代貸の日村誠司はいつも振り回されていた。今度は潰れかけている映画館を救え!? 厳しい業界事情もさることながら、存続を願う「ファンの会」へ嫌がらせをしている輩の存在が浮上し……。大好評「任侠」シリーズ第五弾!

流人道中記 上下

万延元年(一八六〇年)。姦通の罪を犯した旗本・青山玄蕃に奉行所は切腹を言い渡す。だがこの男の答えは一つ。「痛えからいやだ」。玄蕃は蝦夷松前藩へ流罪となり、押送人の見習与力・石川乙次郎とともに奥州街道を北へと歩む。口も態度も悪く乙次郎を悩ませる玄蕃だが、道中行き会う事情を抱えた人々を、決して見捨てぬ心意気があった。

上巻 浅田次郎著 中央公論新社 858円(税込)
下巻 浅田次郎著 中央公論新社 858円(税込)

黄色い家

十七歳の夏、親もとを出て「黄色い家」に集った少女たちは、生きていくためにカード犯罪の出し子というシノギに手を染める。危ういバランスで成り立っていた共同生活は、ある女性の死をきっかけに瓦解し……。人はなぜ罪を犯すのか。世界が注目する作家が初めて挑む、圧巻のクライム・サスペンス。

川上未映子著 中央公論新社 2,090円(税込)