星落ちて、なお

鬼才・河鍋暁斎を父に持った娘・暁翠の数奇な人生とは――。父の影に翻弄され、激動の時代を生き抜いた女絵師の一代記。不世出の絵師、河鍋暁斎が死んだ。残された娘のとよ(暁翠)に対し、腹違いの兄・周三郎は事あるごとに難癖をつけてくる。早くから養子に出されたことを逆恨みしているのかもしれない。暁斎の死によって、これまで河鍋家の中で辛うじて保たれていた均衡が崩れた。兄はもとより、弟の記六は根無し草のような生活にどっぷりつかり頼りなく、妹のきくは病弱で長くは生きられそうもない。河鍋一門の行末はとよの双肩にかかっているのだった――。第165回直木賞受賞。

澤田瞳子著 文藝春秋 1,925円(税込)

もういちど

わ、若だんなの御身に、かつてない事件が!? 不思議な十ヶ月間の幕開けだ! 酔っ払った龍神たちが、隅田川の水をかき回して、長崎屋の舟をひっくり返したってぇ! 水に落ちた若だんなは200年ぶりの天の星の代替わりに巻き込まれて……。「しゃばけ」シリーズ第20弾!!

畠中恵著 新潮社 1,540円(税込)

貝に続く場所にて

コロナ禍が影を落とす異国の街に、9年前の光景が重なり合う。静謐な祈りをこめて描く鎮魂の物語。ドイツの学術都市に暮らす私の元に、震災で行方不明になったはずの友人が現れる。人を隔てる距離と時間を言葉で埋めてゆく、現実と記憶の肖像画。第64回群像新人文学賞受賞作にして、第165回芥川賞受賞作。

石沢麻依著 講談社 1,540円(税込)

彼岸花が咲く島

その島では〈ニホン語〉と〈女語〉が話されていた。 記憶を失くした少女が流れ着いたのは、ノロが統治し、男女が違う言葉を学ぶ島だった――。不思議な世界、読む愉楽に満ちた中編小説。第165回芥川賞受賞。

李琴峰著 文藝春秋 1,925円(税込)

ぼくのお父さん

絵本作家の「お父さん」は、ふつうじゃなくて、ふしぎで少し恥ずかしい。『大家さんと僕』の著者が実の父を描く、ほのぼの家族漫画。

矢部太郎著 新潮社 1,265円(税込)

テスカトリポカ

鬼才・佐藤究が放つ、クライムノベルの新究極、世界文学の新次元!メキシコの麻薬密売人バルミロと臓器ブローカーの末永はジャカルタで出会い、新たな闇ビジネスを実現させるため日本へ向かう。カワサキに生まれ育った少年コシモは知らぬ間に彼らの犯罪に巻きこまれていく――。第165回直木賞受賞。

佐藤究著 KADOKAWA 2,310円(税込)

どうしても頑張れない人たち

「頑張る人を応援します」。世間ではそんなメッセージがよく流されるが、実は「どうしても頑張れない人たち」が一定数存在していることは、あまり知られていない。彼らはサボっているわけではない。頑張り方がわからず、苦しんでいるのだ。大ベストセラー『ケーキの切れない非行少年たち』に続き、困っている人たちを適切な支援につなげるための知識とメソッドを、児童精神科医が説く。

宮口幸治著 新潮社 792円(税込)

老いの福袋

老年よ、大志を抱け、サイフも抱け! 88歳のヒグチさんの日常は初めてづくしの大冒険。トイレ閉じ込め事件から、お金、働き方、人づきあい、介護、終活問題まで、人生100年時代を生きる人に勇気を与える「知恵とユーモア」がつまったエッセイ。「見果てぬ夢を見るのは、老人の特権です。未来を夢見て、夢を語れば、きっとその夢を継いでくれる人が現れます。自分たちの子や孫、そのまた子どもたちがより幸福に生きられるように。老人たちよ、おおいに夢を見ようではありませんか」――樋口恵子

樋口恵子著 中央公論新社 1,540円(税込)

あんなに あんなに

いつか大人になるきみへ、むかし子どもだったあなたへ。すべての家族に寄り添う絵本。

子育ては「あんなに」の連続。あんなにほしがってたのに、あんなにしんぱいしたのに、あんなに小さかったのに―。日常にあふれるたくさんの「あんなに」の中で、子どもは大人になっていく―。大人気の絵本作家・ヨシタケシンスケによる、こどもと昔こどもだったすべての人に届けたい、ちょっと目頭が熱くなっちゃうやさしい絵本。

ヨシタケシンスケ著 ポプラ社 1,320円(税込)