ゲーテはすべてを言った

高名なゲーテ学者・博把統一は一家団欒のディナーで、彼の知らないゲーテの名言と出会う。ティー・バッグのタグに書かれたその言葉を求めて、膨大な原典を読み漁り、長年の研究生活の記憶を辿るが―。ひとつの言葉を巡る統一の旅は、創作とは何かという深遠な問いを投げかけながら、読者を思いがけない明るみへ誘う。若き才能が描くアカデミック冒険譚!第172回芥川賞受賞作。

鈴木結生著 朝日新聞出版 1,760円(税込)

あえのがたり

小説を読み、未来につなぐ。能登半島応援チャリティ小説企画。加藤シゲアキ「そこをみあげる」神に見放され、何一つうまくいかなかった男が山で見つけたのは打ち捨てられた船だった。 朝井リョウ「うらあり」ある島を訪れた男女4人。人々はあたたかく迎えてくれたのだが。 今村昌弘「予約者のいないケーキ」このサプライズケーキは、一体誰に提供すればいいのだろう。 蝉谷めぐ実「溶姫の赤門」加賀藩主・前田斉泰への輿入れを前に、徳川の姫は思い悩んでいた―。 荒木あかね「天使の足跡」大事なミニブタも夫もいなくなってしまった。あと残っているのは、娘だけ。 麻布競馬場「カレーパーティー」少数精鋭のチームに配属され、親睦を深めるための癖のあるカレーパーティーが始まる。 柚木麻子「限界遠藤のおもてなしチャレンジ」あんたがおもてなししている場合なの?友の危機に集まったのは『スーパーゴリオ爺さんズ』。 小川哲「エデンの東」担当編集者から届いたメールに、私は激怒した。もっとわかりやすくしてほしい、だと? 佐藤究「人新世爆発に関する最初の報告」プラスチックが漂着する小さな漁村に暮らすカロイは“新聞島”と呼ばれる無人島に惹かれていた。 今村翔吾「夢見の太郎」「夢がある」と周囲に語って以来、太郎は主から疑いの目を向けられ―。

加藤シゲアキほか 講談社 2,200円(税込)

楽園の楽園

これはディストピア小説か、ユートピア小説か?大規模停電、強毒性ウィルスの蔓延、飛行機墜落事故などが立て続けに発生し、世界は急速に混乱に陥った。これらすべての原因は謎の人工知能『天軸』の暴走と考えられた。五十九彦、三瑚嬢、蝶八隗の選ばれし三人は、人工知能の開発者が描いたという巨大な樹の絵画『楽園』を手掛かりに、暴走する『天軸』の所在を探る。旅路の果てには、誰も想像できない結末が待ち受ける。壮大で、不思議で、だけど皮肉なアドベンチャー。

伊坂幸太郎著 中央公論新社 1,650円(税込)

歌集 ゆふすげ

三日の旅終へて還らす君を待つ庭の夕すげ傾ぐを見つつ--昭和から平成の終わりまでに詠まれながら、これまで私たちの目に触れることのなかった四六六首を収録する。よろこび、悲しみ、ときに言葉にできない驚きや共感……。うつろう時間の中で三一文字に凝縮された豊かな世界。その扉がいま開かれる。解説・永田和宏。

美智子著 岩波書店 1,980円(税込)

架空犯

誰にでも青春があった。被害者にも犯人にも、そして刑事にも―。燃え落ちた屋敷から見つかったのは、都議会議員と元女優夫婦の遺体だった。華やかな人生を送ってきた二人に何が起きたのか。『白鳥とコウモリ』の世界再び―シリーズ最新作。

東野圭吾著 幻冬舎 2,420円(税込)

このミステリーがすごい! 2025年版

36年の信頼と実績を誇る、新作ミステリーランキングブックです。表紙&巻頭では漫画『【推しの子】』を特集。作品の完結を祝し、赤坂アカ氏にお話をうかがいました。更に、デビュー20周年を記念した辻村深月氏×湊かなえ氏道尾秀介氏×加藤隆生氏(SCRAP代表)の二大対談では、ミステリーの過去・今・未来についてたっぷり語っていただいています。ゲーム×ミステリーも特集。「かまいたちの夜」我孫子武丸氏、「Fate/Stay night」奈須きのこ氏のインタビュー、「逆転裁判」巧舟氏「ひぐらしのなく頃に」竜騎士07氏「ダンガンロンパ」小高和剛氏のコラムどでゲームとミステリーの歴史をひもときます。各業界人も注目する2024年の国内&海外のミステリー小説ランキング・ベスト20、超人気作家による自身の新刊情報&特別エッセイなど、例年の人気コンテンツも充実の一冊です。

『このミステリーがすごい!』編集部編 宝島社 900円(税込)

地雷グリコ

頬白(ほおじろ)高校に通う射守矢真兎(いもりや・まと)は勝負事に強い女子高生。文化祭の屋上使用権を賭けて、罠の仕掛けられた階段を上ったり(「地雷グリコ」)、かるた部の窮地を救うため、百人一首の札を用いる神経衰弱に挑んだり(「坊主衰弱」)。風変わりなゲームに巻き込まれ続ける彼女の運命と勝負の行方は--? ミステリ界の旗手が仕掛ける本格頭脳バトル小説、全5篇!

青崎有吾著 KADOKAWA 1,925円(税込)

狂った世界

あらゆる多様性を尊重し、犯罪者の人権も守ろう、何事も男女は平等に、子供は大切に育て、隣国とはつねに仲良く―そんな標語のような綺麗事を追求して、世の中は本当に良くなるのだろうか。むしろ、気づけばおかしな方向に進んでいやしないか。理想と現実の間に生まれる歪みを直視し、頭でっかちな正論を市井の常識から一刀両断する、ベストセラー作家による憂国の書。

百田尚樹著 新潮社 968円(税込)

本好きの下剋上 司書になるためには手段を選んでいられません 短編集3

アレキサンドリアでの日々が始まった。アウブになって念願の図書館もできたし、孤児院の改革とか神殿の整備とかまた頑張らなくっちゃ!今は責任も増えて忙しいけど、エーレンフェストにいた頃も大変だった。わたしの知らないところでフェルディナンド様も側近達も、他領の人達さえも歴史的な転変に翻弄されていたものね。遠くまで来たなぁ…。短編集第3弾!「第五部 女神の化身5~12」の特典SSほか、WEB掲載分など単行本に未収録の短編&中編を収録。本編のその後が描かれる書き下ろし「旅の終わりと新しい神殿」など、知られざる計21編の物語で「本好き世界」が広がっていく!各短編に香月美夜の解説入り!椎名優描き下ろし「四コマ漫画」も収録!

香月美夜著 TOブックス 1,320円(税込)