愛しさに気づかぬうちに

亡くなった母に会いにいくことはできますか?「いつか、素直に話せると思っていたのに…」義理の母と、恋人と、父と…。そばにいたのにすれ違ってしまった人達の、再出発の物語。

川口俊和著 サンマーク出版 1,540円(税込)

生殖記

とある家電メーカー総務部勤務の尚成は、同僚と二個体で新宿の量販店に来ています。体組成計を買うため―ではなく、寿命を効率よく消費するために。この本は、そんなヒトのオス個体に宿る○○目線の、おそらく誰も読んだことのない文字列の集積です。

朝井リョウ著 小学館 1,870円(税込)

穢れた聖地巡礼について

フリー編集者の小林が出版社に持ち込んだのは、心霊スポット突撃系YouTuberチャンイケこと、池田の『オカルトヤンキーch』のファンブック企画だった。しかし、書籍化企画を通すには『オカルトヤンキーch』のチャンネル登録者数は心許ない。企画内容で勝負するべく、過去に動画で取り上げた心霊スポットの追加取材を行うことに。池田と小林はネットなどで集めた情報をもとに、読者が喜びそうな考察をでっちあげていく--。 (『オカルトヤンキーch』ファンブックより一部抜粋)『変態小屋の真相判明!』もともと変態が盗撮した写真のコレクションを保管するための場所ではないかという噂で有名だった当スポットだが、我々の追加取材によりここが実は全く別の目的で使われていたことが判明。さらに動画内に映っていた一枚の写真が、とある女性の自殺直前に撮られたものであることを突き止めた。この写真に写った女性について、次項で詳しく考察していく--。

背筋著 KADOKAWA 1,430円(税込)

短物語

初期三十三編に六つの書き下ろし短々編を加えた身近な物語!これぞ現代の怪異!怪異!怪異!
西尾維新がおくる青春怪異譚<物語>シリーズ、初の短々編集!収録作「ひたぎブッフェ」「まよいルーム」「するがコート」「なでこプール」「つばさソング」ほか*2024年『<物語>シリーズ オフ&モンスターシーズン』アニメ化!

西尾維新著 講談社 1,760円(税込)

迷惑な終活

やり残したことにケリをつけるのが、本当の終活だ。

年金暮らしの原夫妻。妻の礼子はいわゆる終活に熱心だが、夫の英太は「生きているうちに死の準備はしない」という主義だ。そんな英太があるきっかけから終活をしようと思い立つ。それは家族や他人のためではなく、自分の人生にケリをつけること。彼は周囲にあきれられながらも高校時代の純愛の相手に会うため動き始める。やがて、この終活が思わぬ事態を引き起こし──。

『終わった人』『すぐ死ぬんだから』『今度生まれたら』『老害の人』に続く著者「高齢者小説」第5弾!

内館牧子著 講談社 1,870円(税込)

ツミデミック   ★直木賞受賞作品

大学を中退し、夜の街で客引きのバイトをしている優斗。ある日、バイト中に話しかけてきた女は、中学時代に死んだはずの同級生の名を名乗った。過去の記憶と目の前の女の話に戸惑う優斗は―「違う羽の鳥」。調理師の職を失った恭一は、家に籠もりがち。ある日、小一の息子・隼が遊びから帰ってくると、聖徳太子の描かれた旧一万円札を持っていた。近隣に住む老人からもらったという。翌日、恭一は得意の澄まし汁を作って老人宅を訪れると―「特別縁故者」。渦中の人間の有様を描き取った、心震える全6話。稀代のストーリーテラーが放つ、鮮烈なる犯罪小説集。

一穂ミチ著 光文社 1,870円(税込)

バリ山行   ★芥川龍之介賞受賞作品

古くなった建外装修繕を専門とする新田テック建装に、内装リフォーム会社から転職して2年。会社の付き合いを極力避けてきた波多は同僚に誘われるまま六甲山登山に参加する。その後、社内登山グループは正式な登山部となり、波多も親睦を図る気楽な活動をしていたが、職人気質で変人扱いされ孤立しているベテラン社員妻鹿に、危険で難易度の高い登山「バリ山行」に連れて行ってもらうと……。

松永K三蔵著 講談社 1,760円(税込)

自由に捕らわれる。

その日、姿夜は琥太郎の遺体を発見した。事故か自殺か、それとも―心ない噂が飛び交う中で、姿夜は高校の先輩・美生心と調査をはじめる。すると、次々に浮かび上がる衝撃の事実。さらに、溢れ出す家族の闇と苦悩。はたして、琥太郎とは何者だったのか。呪縛から抜け出すために、姿夜が下した決断とは?すべては、目を逸らし続けていたあの中に―。

カンザキイオリ著 河出書房新社 1,540円(税込)

わたしの知る花

犯罪者だと町で噂されていた老人が、孤独死した。部屋に残っていたのは、彼が手ずから咲かせた綺麗な“花”―。生前知り合っていた女子高生・安珠は、彼のことを調べるうちに、意外な過去を知ることになる。淡く、薄く、醜くも、尊い。様々な花から蘇る記憶―。これは、謎めいた老人が描く、愛おしい人生の物語。

町田そのこ著 中央公論新社 1,870円(税込)