江戸、千駄木町の一角を流れる、小さく淀んだ心淋し川。そこで生きる人々も、人生という川のどん詰まりでもがいていた―。悪戯心から張形に仏像を彫りだした、年増で不美人な妾のりき。根津権現で出会った子供の口ずさむ唄に、かつて手酷く捨てた女のことを思い出す飯屋の与吾蔵。苦い過去を隠し、長屋の住人の世話を焼く差配の茂十…。彼らの切なる願いが胸に深く沁みる、第164回直木賞受賞作。


株式会社 山田快進堂
江戸、千駄木町の一角を流れる、小さく淀んだ心淋し川。そこで生きる人々も、人生という川のどん詰まりでもがいていた―。悪戯心から張形に仏像を彫りだした、年増で不美人な妾のりき。根津権現で出会った子供の口ずさむ唄に、かつて手酷く捨てた女のことを思い出す飯屋の与吾蔵。苦い過去を隠し、長屋の住人の世話を焼く差配の茂十…。彼らの切なる願いが胸に深く沁みる、第164回直木賞受賞作。

杉原爽香は、恩師の河村布子から、布子の古い知人・小川久子の娘が起こした殺人事件について相談を受ける。どうも冤罪らしいのだ。真犯人を見つけ出すため調査に乗り出す爽香たち。だが、真実を隠蔽しようとする勢力が、さまざまな手段で爽香たちの行く手を阻む。冤罪事件の真相解明という、かつてない難題に五十歳の爽香が挑む。人気シリーズ第三十六弾!

波乱万丈の旅を経て新しい生き方を探す桜子と小龍太。魚河岸の老舗・江の浦屋5代目が仕掛ける異国交易の仕事の未来と大きさに惹かれる小龍太。小龍太との祝言を前に、船頭の道を進むべきか悩む桜子。そんな中、オランダ人画家コウエルの「二枚の絵」がそれを見た人々を少しずつ変えてゆく-―早朝の柳橋・神木三本桜に願うのは、大きな儲けか、夢の実現か。猪牙強盗の事件の謎の解明、そして未来への希望が詰まった最終巻。四ヶ月連続刊行、壮大なスケールの全四巻がこれにて完結!

PMS(月経前症候群)で感情を抑えられない美紗。パニック障害になり生きがいも気力も失った山添。友達でも恋人でもないけれど、同志のような気持ちが芽生えた二人は、自分にできることは少なくとも、相手のことは助けられるかもしれないと思うようになりーー。人生は苦しいけれど、救いだってある。生きるのが少し楽になる、心に優しい物語。

大人になる途中で、私たちが取りこぼし、忘れてしまったものは、どうなるんだろう――。封じられた時間のなかに取り残されたあの子は、どこへ行ってしまったんだろう。
かつてカルトと批判された〈ミライの学校〉の敷地から発見された子どもの白骨死体。弁護士の法子は、遺体が自分の知る少女のものではないかと胸騒ぎをおぼえる。小学生の頃に参加した〈ミライの学校〉の夏合宿。そこには自主性を育てるために親と離れて共同生活を送る子どもたちがいて、学校ではうまくやれない法子も、合宿では「ずっと友達」と言ってくれる少女に出会えたのだった。もし、あの子が死んでいたのだとしたら……。
30年前の記憶の扉が開き、幼い日の友情と罪があふれだす。

一度は売ったものの手放したことを後悔していた帯留めが戻ってきたと、旧知の東京のアンティークショップから連絡をもらったお草。早速その店に向かうが、そこで耳にしたのは顔なじみのバーの雇われ店長が殺されたらしいという話だった。生前に彼と約束を交わしていたお草はそれを実行に移すが、その後、新幹線で何者かに追われている様子の母親と少年と隣り合わせる。そして、その少年を預かることになるが――。
殺された知人、生前の約束と怪しげな現金、最凶の男……。事件の全貌もわからぬまま少年と逃避行を続けるお草は、どこへ行くのか?

シリーズを彩ったさまざまな登場人物たちのうち、四人を各編の主役に据えた短編集。 五鈴屋を出奔した惣次が、如何にして井筒屋三代目保晴となったのかを描いた「風を抱く」。 生真面目な佐助の、恋の今昔に纏わる「はた結び」。 老いを自覚し、どう生きるか悩むお竹の「百代の過客」。 あのひとに対する、賢輔の長きに亘る秘めた想いの行方を描く「契り橋」。 商い一筋、ひたむきに懸命に生きてきたひとびとの、切なくとも幸せに至る物語の開幕。 まずは上巻の登場です!

成人式を迎えても、大人になった実感のわかないアンちゃん。同い年の優秀な「みつ屋」の社員と自分を比べて落ち込んだり、金沢で素晴らしいお菓子に出合って目を輝かせたり。まだまだアンちゃんの学びの日々は続きます。
これからもそんな日常が――と思いきや、えっ、大好きな椿店長が!?
和菓子に込められた様々な想いや謎に迫る、美味しいお仕事ミステリー第三弾。

これはカルトか、民間医療か--。大人気社会派警察医療ミステリ!警視庁捜査一課の犬養隼人は、長期入院から自宅療養に切り替えて急死した、娘の友人の告別式に参列する。遺体に奇妙な痣があることに気づいた犬養が捜査を進めると、謎の医療団体に行き当たり……。

大御所ミステリ作家の宮内彰吾が死去した。宮内は妻帯者ながら多くの女性と交際し、そのうちの一人と子供までつくっていた。それが僕だ。「親父が『世界でいちばん透きとおった物語』という小説を死ぬ間際に書いていたらしい。何か知らないか」宮内の長男からの連絡をきっかけに始まった遺稿探し。編集者の霧子さんの助言をもとに調べるのだが―。予測不能の結末が待つ、衝撃の物語。
