新本所おけら長屋 2

長崎から戻った万造は、相棒の松吉と便利屋“万松屋”を始めた。だが、請けた仕事を軒並み騒動に変えてゆく!理屈をこねくり回す若者が女医のお満に弟子入り志願!?「おみたて」、常陸へ三十両をもらいに行く道中、迷子の金太が一揆寸前の農村に現れる「はらぺこ」、言葉の遅い子の優しさが、ある縁を再び結ぶ「らいぞう」の三篇収録。笑って泣ける、大人気時代小説。

畠山健二著 祥伝社 858円(税込)

すべての、白いものたちの

おくるみ、うぶぎ、しお、ゆき、こおり、つき、こめ…。「白いもの」の目録を書きとめ紡がれた六十五の物語。生後すぐ亡くなった姉をめぐり、ホロコースト後に再建されたワルシャワの街と、朝鮮半島の記憶が交差する、儚くも偉大な命の鎮魂と恢復への祈り。アジアを代表する作家による奇蹟的傑作。

ハンガン著 斎藤真理子訳 河出書房新社 935円(税込)

地面師たち

ある事件で妻子を亡くした拓海は、大物地面師・ハリソン山中のもとで不動産詐欺を行っていた。次に狙うのは市場価値100億円という前代未聞の物件。一方、定年間近の刑事・辰は、彼らを追ううちにハリソンが拓海の過去に関わっていたことを知る。一か八かの詐欺取引、難航する捜査。双方の思惑が交錯した時、衝撃的な結末が明らかに―。圧倒的なリアリティーで描く、新時代のクライムノベル。

新庄耕著 集英社 814円(税込)

恋とか愛とかやさしさなら

プロポーズの翌日、恋人が盗撮で捕まった。  カメラマンの新夏は啓久と交際5年。東京駅の前でプロポーズしてくれた翌日、啓久が通勤中に女子高生を盗撮したことで、ふたりの関係は一変する。「二度としない」と誓う啓久とやり直せるか、葛藤する新夏。啓久が”出来心”で犯した罪は周囲の人々を巻き込み、思わぬ波紋を巻き起こしていく。信じるとは、許すとは、愛するとは。男と女の欲望のブラックボックスに迫る、著者新境地となる恋愛小説。

一穂ミチ著 小学館 1,760円(税込)

口に関するアンケート

背筋(せすじ)
「近畿地方のある場所について」(KADOKAWA)で2023年にデビュー。同作が「このホラーがすごい! 2024年版」にて1位に。近著に「穢れた聖地巡礼について」 (KADOKAWA)など。

背筋著 ポプラ社 605円(税込)

婚活マエストロ

40歳のこたつ記事ライター・猪名川健人は、婚活事業を営む「ドリーム・ハピネス・プランニング」の紹介記事を引き受ける。安っぽいホームページ、雑居ビルの小さな事務所…手作り感あふれる地味なパーティーに現れたのは、生真面目にマイクを握るスーツ姿の美女・鏡原奈緒子。彼女は脅威のカップル成立率を誇る伝説の司会者“婚活マエストロ”だという。その見事な進行で、参加者は完全に鏡原の掌の上。シニア向け婚活パーティーから、琵琶湖に向かう婚活バスツアーまで、いつだってマエストロは絶好調だ。気付けば事業を手伝うことになった猪名川だが、鏡原への謎は深まるばかりで…。

宮島未奈著 文藝春秋 1,760円(税込)

菜食主義者

「新しい韓国文学シリーズ」第1作としてお届けするのは、韓国で最も権威ある文学賞といわれている李箱(イ・サン)文学賞を受賞した女性作家、ハン・ガンの『菜食主義者』。韓国国内では、「これまでハン・ガンが一貫して描いてきた欲望、死、存在論などの問題が、この作品に凝縮され、見事に開花した」と高い評価を得た、ハン・ガンの代表作です。 ごく平凡な女だったはずの妻・ヨンヘが、ある日突然、肉食を拒否し、日に日にやせ細っていく姿を見つめる夫(「菜食主義者」)、妻の妹・ヨンヘを芸術的・性的対象として狂おしいほど求め、あるイメージの虜となってゆく姉の夫(「蒙古斑」)、変わり果てた妹、家を去った夫、幼い息子……脆くも崩れ始めた日常の中で、もがきながら進もうとする姉・インへ(「木の花火」)― 3人の目を通して語られる連作小説集。

ハンガン著 きむふな訳 クオン 2,420円(税込)

儘ならない彼 美しい彼4

現役大学生で何の実績もない新人が、個展を開催!?破格の条件をお膳立てされ、プレッシャーに押し潰されそうになっていた平良。そんな恋人を心配する清居は、自分を神と崇める平良に、助言もできず葛藤する毎日だ。悩んだ末に平良が会場に選んだのは、なんと廃墟!!異例づくしの初個展が、ついに開催日を迎え!?新進写真家と演技派俳優―目指す場所へ駆け出した二人の試練と成長の軌跡!!

凪良ゆう著 徳間書店 770円(税込)

これは経費で落ちません! 経理部の森若さん12

ちゃくちゃくと結婚に向けて準備を進める、沙名子と太陽。名字はジャンケンで“森若”にすることになったけれど、それ以外にも世帯主、本籍地、新居、子供など、話し合わなければならないことは山積みだ。社内の既婚女性たちの家庭事情もいろいろと耳に入ってきて悩ましい。そしてそんな間も仕事は待ってくれない。業務効率向上のためのデジタル化も始まり…?「愛し、敬い、慈しむことを誓いますか?」

青木祐子著 集英社 693円(税込)