桜のような僕の恋人

美容師の美咲に恋をした晴人。彼女に認めてもらいたい一心で、一度は諦めたカメラマンの夢を再び目指すことに。そんな晴人に美咲も惹かれ、やがて二人は恋人同士になる。しかし、幸せな時間は長くは続かなかった。美咲は、人の何十倍もの早さで年老いる難病を発症してしまったのだった。老婆になっていく姿を晴人にだけは見せたくないと悩む美咲は…。桜のように儚く美しい恋の物語。

宇山佳佑著 集英社 660円(税込)

ひと

女手ひとつで僕を東京の私大に進ませてくれた母が急死した。僕、柏木聖輔は二十歳の秋、たった独りになった。大学は中退を選び、就職先のあてもない。そんなある日、空腹に負けて吸い寄せられた砂町銀座商店街の惣菜屋で、最後に残った五十円のコロッケを見知らぬお婆さんに譲ったことから、不思議な縁が生まれていく。本屋大賞から生まれたベストセラー、待望の文庫化。

小野寺史宜著 祥伝社 759円(税込)

雷神

埼玉で小料理屋を営む藤原幸人のもとにかかってきた一本の脅迫電話。それが惨劇の始まりだった。昭和の終わり、藤原家に降りかかった「母の不審死」と「毒殺事件」。真相を解き明かすべく、幸人は姉の亜沙実らとともに、30年の時を経て、因習残る故郷へと潜入調査を試みる。すべては、19歳の一人娘・夕見を守るために…。なぜ、母は死んだのか。父は本当に「罪」を犯したのか。村の伝統祭“神鳴講”が行われたあの日、事件の発端となった一筋の雷撃。後に世間を震撼させる一通の手紙。父が生涯隠し続けた一枚の写真。そして、現代で繰り広げられる新たな悲劇―。ささいな善意と隠された悪意。決して交わるはずのなかった運命が交錯するとき、怒涛のクライマックスが訪れる。

道尾秀介著 新潮社 1,870円

戦乱中国の英雄たち

偽君子・劉備を主人公に、毒親・曹操、軍師・司馬懿、影武者・献帝らが成敗争奪する三国志。若き始皇帝・政が天下統一をめざして戦う『キングダム』。中国の歴史物の人気が原動力となって、戦乱中国を描く中国時代劇がいま多くの日本人を魅了している。手に汗握る興亡のドラマやサスペンス時代劇、美男美女の愛がせつない宮廷物やラブ史劇。ドラマに込められた歴史観や夢に迫りながら、教養としての中国史をやさしく解説。英雄たちが駆け抜けた戦乱の世、虚構と史実がせめぎ合う驚きの中国へ飛び込んでいくとしよう。

佐藤信弥著 中央公論新社 924円

コロナと無責任な人たち

パンデミックは人災だ!二〇二〇年一月に始まった新型コロナによるパンデミックは、戦後の平和ボケと馴れ合いを享受してきた日本のリーダーたちの本性を暴いた。また、畑違いの分野の素人がコロナ禍に乗じて根拠のないデマを声高に発信し、そのたびに国民の間で不信と分断が生まれた。本書では政治家、知識人たちの腐敗を抉り出し、知性なき国家の惨状を白日のもとに晒す。

適菜 収著 祥伝社 946円

みんなの買い物大全

今見直したい!食材の買いグセ

スーパーVS生協、まとめ買いVSちょこちょこ買い―あなたに合った「効率的」な買い方が、見つかる!

心地よい暮らし研究会著 ワニブックス 1,540円

JR上野駅公園口

一九三三年、私は「天皇」と同じ日に生まれた―東京オリンピックの前年、男は出稼ぎのために上野駅に降り立った。そして男は彷徨い続ける、生者と死者が共存するこの国を。高度経済成長期の中、その象徴ともいえる「上野」を舞台に、福島県相馬郡(現・南相馬市)出身の一人の男の生涯を通じて描かれる死者への祈り、そして日本の光と闇…。「帰る場所を失くしてしまったすべての人たち」へ柳美里が贈る傑作小説。

柳美里著 河出書房新社 660円(税込)

いっちみち

家族が引き起こした不祥事で故郷を離れ、コロナ禍のなか帰郷した女性。母の実家で、家業代々の秘密を知った息子。両親を事故で失い、我が家にやってきた不思議な従妹。わかりあえると思ったら、遠ざかる。温かいのに怖い。恋があって、愛があって家族になったはずなのに―。「人間」という人生最大のミステリーを描き続けてきた作家による、傑作短編を精選した文庫オリジナルアンソロジー。

乃南アサ著 新潮社 737円(税込)

父渋沢栄一

江戸から昭和へと四つの時代を駆け抜けた実業家、渋沢栄一。新政府では大蔵省の官僚、そして民間では多くの企業の創立や発展に携わる経済人として生きる中で、彼が重要視したのが公益の追求である。道徳に従った活動こそが経済の持続につながるという。息子の視点から、家族とのエピソードを交え栄一の生涯を俯瞰する随一の伝記、待望の文庫化!

渋沢秀雄著 実業の日本社 902円(税込)