薬屋のひとりごと 16

皇帝の手術を無事に終えてから半月、季節も冬へと近づいていた。術後の治療を上級医官に替わってもらったおかげで、猫猫の日常は忙しくも平常運転へと戻っていた。そんなある日、老医官に届いた文を読んだヨの顔色が変わった。「怖いことになるかもしれない」。その文には水膨れができた患者が増えていると書かれていたのだ。嫌な予感がする猫猫だったが、その心配は当たってしまった。「疱瘡の発生」。感染力、致死率が高く、顔や身体に痕が残りやすく恐れられている流行病だ。特効薬はなく、猫猫でも今から見つけることは不可能だろう。感染が広まれば村一つが閉鎖することもあるという。そんな絶望的な状況に一筋の光を放ったのは―。

日向夏著 イマジカインフォス 836円(税込)

薬屋のひとりごと 13

西都に残る人たちと別れ、一年ぶりに中央に帰ってきた猫猫たちは、また以前の仕事に戻る。蝗害、西都のお家騒動からようやく離れることができて、平穏な日々が戻ってくるかに思えたが―。猫猫が帰って来てもまだその友人たちに居候されて困る羅半。上司のげんこつを食らいながら、毎日おもしろそうなものを探す天祐。面倒くさい客の相手をしながら、どのように技女を引退するかを考える女華。弟の恋についてあれこれ画策する麻美。お嬢さまの心境に不安しかない燕燕。言動と心境にずれが生じ、ちぐはぐな行動ばかりしてしまう姚。蝗害の災禍にたった一人立ち向かい、生きて西都に戻った羅半兄。西都でも中央でもそれぞれ違う人生があり、皆が皆、自分なりの悩みを抱えて生きていた。

日向夏著 主婦の友インフォス 770円(税込)