チンギス紀 十二 不羈

モンゴル国の領土は拡がり、チンギス率いる十万の軍は、金国との戦のため長い遠征に出ている。鎮海城を預かるダイルは、西遼の動きを懸念していた。西遼の帝位を簒奪したナイマン王国の元王子グチュルクが、鎮海城の守備が手薄な中、父の仇討ちという名目で動くのではないか―。金国では、完顔遠理が精強な五万の騎馬隊を整え、耶律楚材が政事の立て直しを図り、戦の終熄を模索していた。

北方謙三著 集英社 935円(税込)