菜食主義者

「新しい韓国文学シリーズ」第1作としてお届けするのは、韓国で最も権威ある文学賞といわれている李箱(イ・サン)文学賞を受賞した女性作家、ハン・ガンの『菜食主義者』。韓国国内では、「これまでハン・ガンが一貫して描いてきた欲望、死、存在論などの問題が、この作品に凝縮され、見事に開花した」と高い評価を得た、ハン・ガンの代表作です。 ごく平凡な女だったはずの妻・ヨンヘが、ある日突然、肉食を拒否し、日に日にやせ細っていく姿を見つめる夫(「菜食主義者」)、妻の妹・ヨンヘを芸術的・性的対象として狂おしいほど求め、あるイメージの虜となってゆく姉の夫(「蒙古斑」)、変わり果てた妹、家を去った夫、幼い息子……脆くも崩れ始めた日常の中で、もがきながら進もうとする姉・インへ(「木の花火」)― 3人の目を通して語られる連作小説集。

ハンガン著 きむふな訳 クオン 2,420円(税込)

儘ならない彼 美しい彼4

現役大学生で何の実績もない新人が、個展を開催!?破格の条件をお膳立てされ、プレッシャーに押し潰されそうになっていた平良。そんな恋人を心配する清居は、自分を神と崇める平良に、助言もできず葛藤する毎日だ。悩んだ末に平良が会場に選んだのは、なんと廃墟!!異例づくしの初個展が、ついに開催日を迎え!?新進写真家と演技派俳優―目指す場所へ駆け出した二人の試練と成長の軌跡!!

凪良ゆう著 徳間書店 770円(税込)

これは経費で落ちません! 経理部の森若さん12

ちゃくちゃくと結婚に向けて準備を進める、沙名子と太陽。名字はジャンケンで“森若”にすることになったけれど、それ以外にも世帯主、本籍地、新居、子供など、話し合わなければならないことは山積みだ。社内の既婚女性たちの家庭事情もいろいろと耳に入ってきて悩ましい。そしてそんな間も仕事は待ってくれない。業務効率向上のためのデジタル化も始まり…?「愛し、敬い、慈しむことを誓いますか?」

青木祐子著 集英社 693円(税込)

無明 警視庁強行犯係・樋口顕

東京の荒川の河川敷で高校生の水死体が見つかった。所轄の千住署が自殺と断定するも、本部捜査一課の樋口は別動で調べ始める。その生徒は生前に旅行を計画し、遺体の首筋にはひっかき傷があった。だが樋口は千住署からは猛反発を受け、本部の上司には激しく叱責される。彼の刑事人生はここまでか―。組織の狭間で男が正義を貫く傑作警察小説!

今野敏著 幻冬舎 781円(税込)

もう別れてもいいですか

離婚したい。でも、お金がない…。夫は暴力を振るうわけでもなく、浮気や借金が発覚したわけでもない。でも、夫の偉そうな物言い、におい…。もうそばに近づくのさえ我慢ならない。五十代の平凡な主婦が、経済的な不安を抱えながらも、友人たちに支えられ新しい一歩を踏み出すまでを描く。

垣谷美雨著 中央公論新社 880円(税込)

小鳥とリムジン

やっとドアを開けることができたお弁当屋さんが、その人との出逢いの場になりました。いいにおいをかぐこと。おいしいものを味わうこと。いやなことにいやだと言うこと。大好きな人に触れること。心と体を取り戻す、いとおしい物語。

小川糸著 ポプラ社 1,870円(税込)

二人一組になってください

「このクラスには『いじめ』がありました。それは赦されるべきことではないし、いじめをした人間は死刑になるべきです」とある女子高の卒業式直前、担任教師による“特別授業”が始まった。突如開始されたデスゲームに27人全員が半信半疑だったが、余った生徒は左胸のコサージュの仕掛けにより無惨な死を遂げる。自分が生き残る存在だと疑わない一軍、虚実の友情が入り混じる二軍、教室の最下層に生息し発言権のない三軍―。生き残って卒業できるのは、果たして誰か?

木爾チレン著 双葉社 1,815円(税込)

家族

雑誌記者の笹山真由美は、若年性アルツハイマーを発症した父に付き添い病院を訪れた。彼女はその病院のICUで、頭に包帯が巻かれ、複数の管につながれた意識のない少女・美咲が流す涙を目撃する。美咲の家族は殺害され、自宅火災の焼け跡から遺体で発見されていた。事件を調べ始めた真由美は、美咲が典型的なヤングケアラーだったことを知る。重度の障害者の兄と認知症の祖母の面倒を、看護師の母にかわって一人で看ていた美咲が、衝動的に家族を殺して放火したと考える警察の見解に違和感を覚えた真由美が突き詰めた衝撃の真実とは…?

高嶋哲夫著 角川春樹事務所 1,870円(税込)