猪牙の娘 柳橋の桜(一)

吉原や向島などへ行き交う舟が集まる柳橋。神田川と大川が合流する一角に架けられたその橋の両側には船宿が並び、働く人、遊びに行く人で賑わっていた。柳橋の船宿「さがみ」で働く船頭の広吉には一人娘がいた。名前は桜子。三歳で母親が出奔するが、父親から愛情を受けて育ち、母譲りの器量よしと、八歳から始めた棒術の腕前で、街の人気娘に育っていた。夢は父親のような船頭になること。そんな桜子に目を付けた船宿の亭主による「大晦日の趣向」が思わぬ騒動を巻き起こし……。涙あり、恋あり、活劇あり。待望の時代小説新シリーズの幕が開く。

佐伯泰英著 文藝春秋 880円(税込)

怪物

「豚の脳を移植した人間は?人間?豚?」シングルマザーの早織に、息子の湊が投げかけた奇妙な質問。それ以降、不審な行動を繰り返す湊に、早織は学校でのいじめを疑うが…。母親・教師・子供の3つの視点から語られる物語に潜む“怪物”の正体とは。日本を代表するストーリーテラー・坂元裕二と映像作家・是枝裕和が初めてタッグを組んで描く、圧巻の人間ドラマ、完全小説化!

佐野晶著 宝島社 770円(税込)

銀河鉄道の父

政次郎の長男・賢治は、適当な理由をつけては金の無心をするような困った息子。政次郎は厳格な父親であろうと努めるも、賢治のためなら、とつい甘やかしてしまう。やがて妹の病気を機に、賢治は筆を執るも――。天才・宮沢賢治の生涯を父の視線を通して活写する、究極の親子愛を描いた傑作。

門井慶喜著 講談社 1,012円(税込)

月曜日の抹茶カフェ

桜並木のそばに佇む「マーブル・カフェ」では、定休日の月曜日に「抹茶カフェ」が開かれ――。ツイていない携帯ショップ店員、愛想のない茶問屋の若旦那、祖母が苦手な紙芝居師、京都老舗和菓子屋の元女将……。一杯の抹茶から始まる、東京と京都をつなぐ心癒やされる物語。

青山美智子著 宝島社 760円(税込)

ヨモツイクサ

「黄泉の森には絶対に入ってはならない」 人なのか、ヒグマなのか、禁域の森には未知なる生物がいる。 究極の遺伝子を持ち、生命を喰い尽くすその名は――ヨモツイクサ。 北海道旭川に《黄泉の森》と呼ばれ、アイヌの人々が怖れてきた禁域があった。 その禁域を大手ホテル会社が開発しようとするのだが、作業員が行方不明になってしまう。 現場には《何か》に蹂躙された痕跡だけが残されてた。 そして、作業員は死ぬ前に神秘的な蒼い光を見たという。 地元の道央大病院に勤める外科医・佐原茜の実家は黄泉の森のそばにあり、 7年前に家族が忽然と消える神隠し事件に遭っていて、今も家族を捜していた。 この2つの事件は繋がっているのか。もしかして、ヨモツイクサの仕業なのか……。

知念実希人著 双葉社 1,848円(税込)

美しい日本人

明治以来、日本には、その生き方や考え方において、人を惚れ惚れとさせる「美しい日本人」が数多くいました。そうした“偉人”たちの足跡に触れれば、痛快な思いをしたり考えを改めたりすることもある。“偉人”の人生は、ときとして我が身を映す鏡にもなるのです。

文藝春秋編 文藝春秋 935円(税込)

メメンとモリ

「生きる意味」や「生きる目的」って必要ですか?「必ず死ぬのに、生きる意味ってなに?」。不思議な姉弟のメメンとモリの会話から、そのヒントが見つかるかもしれません。読めば読むほど新しい発見があるヨシタケシンスケ最新作。

ヨシタケシンスケ著 KADOKAWA 1,760円(税込)

街とその不確かな壁

村上春樹、6年ぶりの最新長編1200枚、待望の刊行!  その街に行かなくてはならない。なにがあろうと――〈古い夢〉が奥まった書庫でひもとかれ、呼び覚まされるように、封印された“物語”が深く静かに動きだす。魂を揺さぶる純度100パーセントの村上ワールド。

村上春樹著 新潮社 2,970円(税込)

高校事変 14

魔の体育祭、ついに開幕!梅雨の晴れ間の6月。凜香と瑠那が通う日暮里高校で体育祭が開催されようとしていた。その少し前、瑠那宛てに怪しげなメモリーカードが届いて……。危機はまだ去っていなかった。魔の体育祭、ついに開幕!

松岡圭祐著 KADOKAWA 924円(税込)