皇后の碧

かつて火竜に家族を焼かれた少女ナオミは、風の精霊を統べる皇帝から「私の寵姫の座を狙ってみないか?」と突然誘われる。皇帝の後宮には風の精霊の皇后と、火の精霊と水の精霊の愛妾がすでにおり、彼の胸には皇后の瞳の色に似ている緑の宝石が連なる首飾り「皇后の碧」が常に輝いていた。高位の精霊である妻妾たちの棲む地に馴染めるよう、年老いた宦官長とまじないの修練を重ねつつ、己が選ばれた理由を解き明かそうとするうち、ナオミは後宮が大きな秘密を抱えていることに気づいてゆく。誰が味方で敵なのか、後宮は何を隠しているのか、そして「皇后の碧」が真に意味するところとは―

阿部智里著 新潮社 1,980円

新本所おけら長屋 3

“人情とお節介”で有名な、本所亀沢町のおけら長屋では、今日も笑いと涙の珍騒動が巻き起こり―。便利屋“万松屋”が大人気戯作の題材に!?「のほほん」。三島でお満と再会した万造、路銀をくすねた盗人を侠客親分と追う「まねごと」。黒石藩藩主の高宗が気弱な小姓を鍛えるため、伏魔殿・おけら長屋に送り込む「おおばけ」の三篇を収録。大人気時代小説第三弾!

畠山健二著 祥伝社 880円(税込)

京都寺町三条のホームズ 22

輝かしい未来に想いを馳せていた葵だが、突如、世界を襲った新型ウイルスにより、ニューヨークへの留学を断念せざるを得なくなる。そんななか、清貴が葵にした驚きの提案とは?難航する就職活動、ようやく見つけた職場での苦悩を経て、葵は自分を取り戻し、さらに『美術補佐人』としての才能を開花させていく。清貴と葵の関係が新しいステージに進んだ、新章スタート!

望月麻衣著 双葉社 737円(税込)

やなせたかしの生涯

自分の顔を食べさせる前代未聞のヒーロー、アンパンマンには作者の祈りと哲学が込められていた。家族との死別、胸がつぶれるほどのさびしさに耐えた幼少期、戦争の傷、下積みの苦しさと無名であることの悲しみ―。それでも生きることを肯定し、光にむかって歩き続けたやなせたかしの生涯を、評伝の名手が綴る感動作。

梯久美子著 文藝春秋 770円(税込)

街とその不確かな壁 上下

十七歳と十六歳の夏の夕暮れ、きみは川べりに腰を下ろし、“街”について語り出す―それが物語の始まりだった。高い壁と望楼に囲まれた遙か遠くの謎めいた街。そこに“本当のきみ”がいるという。〈古い夢〉が並ぶ図書館、石造りの三つの橋、針のない時計台、金雀児の葉、角笛と金色の獣たち。しかし、その街では人々は影を持たない…村上春樹が封印してきた「物語」の扉が、いま開かれる。

村上春樹著 新潮社 990円(税込)
村上春樹著 新潮社 935円(税込)

へこたれてなんかいられない

思っていた「五十歳女性」とはなんか違う。馬車馬のように働き、ストレス発散はドラッグストアでの無駄遣い、休日はプロレス観戦に血道を上げ、夫も子どももいないのに常にバタバタの日々―。それでも、インディペンデントでいたいから。『婦人公論』人気連載、待望の書籍化。大人を励ますごほうびエッセイ。

ジェーンスー著 中央公論新社 1,760円(税込)

謎の香りはパン屋から

大学一年生の市倉小春は漫画家を目指しつつ、大阪府豊中市にあるパン屋“ノスティモ”でアルバイトをしていた。あるとき、同じパン屋で働いている親友の由貴子に、一緒に行くはずだったライブビューイングをドタキャンされてしまう。誘ってきたのは彼女のほうなのにどうして?疑問に思った小春は、彼女の行動を振り返り、意外な真相に辿りつく…。パン屋を舞台とした“日常の謎”連作ミステリー!2025年第23回『このミステリーがすごい!』大賞 大賞受賞作。

土屋うさぎ著 宝島社 1,650円(税込)

それいけ!平安部

ピュア度100%! ハートフル青春小説  いみじ! 新入生、部活つくったってよ県立菅原高校の入学式当日、同じクラスになった平尾安以加から「平安時代に興味ない?」と牧原栞は声をかけられた。「平安部を作りたい」という安以加の熱意に入部を決めるが、新部を創設するには5人の部員が必要だった。あと3人(泣)!!クラスメートから上級生まで声をかけ、部員集めに奔走するがーー

宮島未奈著 小学館 1,760円(税込)

アルプス席の母

まったく新しい高校野球小説が、開幕する。 秋山菜々子は、神奈川で看護師をしながら一人息子の航太郎を育てていた。湘南のシニアリーグで活躍する航太郎には関東一円からスカウトが来ていたが、選び取ったのはとある大阪の新興校だった。声のかからなかった甲子園常連校を倒すことを夢見て。息子とともに、菜々子もまた大阪に拠点を移すことを決意する。不慣れな土地での暮らし、厳しい父母会の掟、激痩せしていく息子。果たしてふたりの夢は叶うのか!?

早見和真著 小学館 1,870円(税込)