いつまで

悪夢を食べる獏の場久がいなくなった。さらに、医師の火幻まで姿を消してしまう。二人は、悪夢の中にいるのだという。なんとか助け出そうと若だんなが夢に飛び込むと…そこは「五年後の江戸」につながっていた!おまけに長崎屋は信じられない事態に。若だんなは、お店の危機を救えるか!?そして若だんなを助けてくれた謎の女性の正体は?時をかけるシリーズ第22弾は、待望の長編作品。

畠中恵著 新潮社 693円(税込)

カフネ ☆2025年本屋大賞受賞作☆

一緒に生きよう。あなたがいると、きっとおいしい。やさしくも、せつない。この物語は、心にそっと寄り添っている。法務局に勤める野宮薫子は、溺愛していた弟が急死して悲嘆にくれていた。弟が遺した遺言書から弟の元恋人・小野寺せつなに会い、やがて彼女が勤める家事代行サービス会社「カフネ」の活動を手伝うことに。弟を亡くした薫子と弟の元恋人せつな。食べることを通じて、二人の距離は次第に縮まっていく。

阿部暁子著 講談社 1,870円(税込)

クロエとオオエ

横浜で三代続いた宝石(ジュエラー)商の嫡男・大江頼任と、彫金を家業とする職人の娘・黒江彩。最初のデートで頼任が贈ったリングを突き返してから、二人の関係は「メシ友」と「恋人」の間で謎のまま。頼任の店のお得意様のブライダルジュエリーのオーダーを皮切りに、クロエがジュエリーデザインを引き受けるようになってから、二人の関係性が変わっていく。宝石をのぞくと見える美しい別世界。これを表現できるのは彼女だけ。

有川ひろ著 講談社 2,200円(税込)

「遅読」のすすめ

コスパ・タイパの時代だからこそ「味わって読む」理由 今の時代、情報はとめどなく流れ、次から次へと新しいものが現れては消えていきます。そんな中で、あえて立ち止まり、ゆっくりと読むことをおすすめしたいのです。たとえば旅行に出かけたら、足早に観光名所を巡るのではなく、町の空気を吸い、風景を見つめ、記憶を自分の奥深くにまで探しに行くような方法があります。私は読書にも、同じような読み方があっていいと思うのです(「はじめに」より)。「本物の教養」は「時間をかけて本を読むこと」「何度も同じ本を読むこと」によって身につきます。読書の大家である齋藤先生が、遅読をすることの意義と効用、その技術を解説します。

齋藤孝著 SBクリエイティブ 1,045円(税込)

パズルと天気

マッチングアプリでしか出会えない「名探偵」、天気のことばかり話す男、犬たちの逆襲!?他人のことはパズルだと思うよりも、天気だと思ったほうがいい―。単著未収録だった4作品に、完全書き下ろしを加えた5編を収録。井坂ワールドの魅力がつまった幸せな短編集。

伊坂幸太郎著 PHP研究所 1,760円(税込)

栞と嘘の季節

高校で図書委員を務める堀川と松倉は、返却本のなかにトリカブトの花の栞を見つける。密かに持ち主捜しをはじめるが、同級生の女子・瀬野に栞を奪われ、焼き捨てられてしまう。これにて幕引きかと思われたその翌日、男性教師が中毒に倒れた。次から次へと現れる猛毒の栞―誰が何の目的で作っているのか。そして、瀬野は何を隠しているのか。殺意の奥にある切実さが胸を打つ、青春ミステリ長編。

米澤穂信著 集英社 990円(税込)

青瓜不動

洒落た一品をそろえる袋物屋〈三島屋〉の次男坊・富次郎は、いっぷう変わった百物語の聞き手を務めている。「黒白の間」で語られた怪談は、けっして外には漏らされない―。初代聞き手のおちかのお産が迫り、てんやわんやの三島屋を、土の匂いをまとった女が訪れた。「うりんぼ様」と呼ばれる不動明王像を連れ込んで語られたのは、行くあてのない女たちの話だった。短編「面影鬼」を特別収録した、宮部みゆき流の人情怪談!

宮部みゆき著 KADOKAWA 1,100円(税込)

任侠楽団

公演間近なのに問題だらけのオーケストラ。楽団員同士のいざこざに、襲撃事件まで発生……阿岐本組は立て直せるか!? 大好評「任侠」シリーズ第六弾!

今野敏著 中央公論新社 836円(税込)

この声が届くまで

世間から注目されないまま10年、そんな中でメンバーの一人・マサが脱退。学生時代からの仲間である龍、ヒロト、誠一郎、毅志で組んだバンド「zion(シオン)」は窮地に立たされていた。マネージャーの光、幼馴染の七海とともに最後の望みをかけてメンバーは一念発起、バンドとして成功をおさめるために団結力を高めていく。しかし、彼らの前にさまざまな困難が立ちはだかる。「ここで諦めたくねぇんだ! まだ自分の夢を諦めたくねぇんだ。俺はお前らと……他の誰でもねぇ! お前らと! やっぱりテッペン目指したい」(本書より引用)バンド活動に全力で立ち向かい、憧れの武道館を目指す物語。

上田竜也著 KADOKAWA 1,760円(税込)