教誨

吉沢香純と母の静江は、遠縁の死刑囚三原響子から身柄引受人に指名され、刑の執行後に東京拘置所で遺骨と遺品を受け取った。響子は我が子も含む女児二人を殺めたとされた。事件当時、「毒親」と散々に報じられた響子と、香純の記憶は、重なり合わない。香純は、響子の教誨師だった下間将人住職の力添えを受け、遺骨を三原家の墓におさめてもらうために、菩提寺がある青森県相野町を単身訪れる。香純は、響子が最期に遺した言葉「約束は守ったよ、褒めて」が気になっていた―。女性死刑囚の心の裡に迫る、長編犯罪小説!

柚月裕子著 小学館 891円(税込)

信貴山忠義 北近江合戦心得 5

上杉謙信と雌雄を決すべく織田諸将が北陸に集う中、すでに狙いを毛利の中国地方に定める秀吉。弟の秀長を通じ藤堂高虎を播磨に派遣する一方、与一郎が帯びた密命は、於市への無謀な求婚の仲介だった。気乗りしない任務に加え、逆恨みされている侍女の暗躍、於弦の子の処遇―馬鹿正直な与一郎の気苦労は絶えない。やがて、摂津で松永久秀が二度目の謀反を起こす。堅固な信貴山城を落とすため、与一郎組が配置されたのは三百人で急勾配の斜面を攻める搦め手の別働隊。成り行きから思わぬ好機を掴んだ与一郎、大役を果たせるか!?人気戦国出世物語第五弾!

井原忠政著 小学館 737円(税込)

宙ごはん

宙は小学校に上がるのを機に、育ての母・風海(ママ)のもとを離れ、産みの母・花野(お母さん)と暮らし始める。家事をせず、イラストレーターの仕事を最優先にする花野との生活を支えてくれたのは、商店街のビストロで働く佐伯と家政婦の田本だった。花野への不満を募らせて家を飛び出した宙に、佐伯はパンケーキを作ってくれた。その日から、宙は佐伯から料理を教わり、レシピをノートに書き続けていく―。2023年本屋大賞にノミネートされた話題作。文庫版には、書き下ろしを含む2本の掌編を収録する。

町田そのこ著 小学館 946円(税込)

ひみつだけど、話します ☆坪田譲治文学賞受賞作品

ある町の三年三組の子どもたち。ほうかごの、それぞれの時間を、ちょっとだけ、のぞいてみませんか?電車好きの足立くん、いつもごきげんな小川さん、生きものにくわしいうっちゃん、学校に行かない上田さん。…みんな、ちょっとしたひみつを持っている。なにげない言葉を伝えたり伝えなかったりする日々を描いた、やさしい物語。

堀川理万子著 あかね書房 1,320円(税込)

天までのぼれ

女も住むこの国のことを、女抜きで決めないでほしい。男も女も、民衆には多くの権利がなかった100年以上前、高知で女性参政権を求めて申し立てをしたひとがいた。『きみはいい子』『世界の果てのこどもたち』の中脇初枝が描く、楠瀬喜多の生涯。

中脇初枝著 ポプラ社 2,420円(税込)

月とアマリリス

北九州の山中で発見された白骨化した遺体。あなたは誰?どんな人生を送ったの―。本屋大賞作家の新境地となるサスペンス巨編。

町田そのこ著 小学館 1,870円(税込)

遊園地ぐるぐるめ

とある町にある『遊園地ぐるぐるめ』。訪れた6人のお客さんと、そして―。日常をちょっと一休み。幸せと満足感に溢れた読書体験が、あなたをお待ちしております。『木曜日にはココアを』『人魚が逃げた』など、青山美智子さん作品の装丁を数多く手掛ける田中達也さんのアート作品。今回は「田中さんの作品を見て(各章の扉のアート)、青山さんが物語を執筆。その物語を読んで、田中さんがさらに作品を作成(各章の終わりのアート)」という、最後の1ページまでワクワクが詰まった一冊です。

青山美智子著 ポプラ社 1,870円(税込)

野火、奔る

評判の小間物問屋『遠野屋』の看板商品の原料・紅餅を積んだ船が消息を絶ち、遠野屋の奉公人にも不審な手が忍び寄る。遠野屋主の清之介は最大の窮地に、最も頼りたくない相手、北町奉行所定町廻り同心の木暮信次郎に頭を下げる。遠野屋の危機と、信次郎たちが追う殺しの線が繋がったとき、衝撃の真相が露わに―。一二一万部突破の人気シリーズ、待望の第十二弾!

あさのあつこ著 光文社 880円(税込)

鑑定人氏家京太郎

民間の科学捜査鑑定所で所長を務める氏家京太郎。彼のもとに舞い込んだのは、世間を騒がす連続殺人事件の鑑定依頼だった。女子大生三人が殺害され子宮を抜き取られるという猟奇的な事件だが、容疑者の那智は二人への殺人は認め、もう一人への犯行は否認している。那智が三人を殺害したとする検察の鑑定結果に違和感を抱く氏家は再鑑定を試みる。しかし、何者かの妨害が相次いで起きて―。驚愕の結末が待ち受ける、圧巻の鑑定サスペンス!

中山七里著 双葉社 803円(税込)