塞王の楯

2021年 第166回 直木賞受賞

幼い頃、落城によって家族を喪った石工の匡介。彼は「絶対に破られない石垣」を造れば、世から戦を無くせると考えていた。一方、戦で父を喪った鉄砲職人の彦九郎は「どんな城も落とす砲」で人を殺し、その恐怖を天下に知らしめれば、戦をする者はいなくなると考えていた。秀吉が死に、戦乱の気配が近づく中、琵琶湖畔にある大津城の城主・京極高次は、匡介に石垣造りを頼む。攻め手の石田三成は、彦九郎に鉄砲作りを依頼した。大軍に囲まれ絶体絶命の大津城を舞台に、信念をかけた職人の対決が幕を開ける。ぶつかり合う、矛楯した想い。答えは戦火の果てに―。「最強の楯」と「至高の矛」の対決を描く、圧倒的戦国小説!

今村翔吾著 集英社 2,200円(税込)

いえ

社会人三年めの三上傑には、大学生の妹、若緒がいた。仲は特に良くも悪くもなく、普通。しかし最近、傑は妹のことばかり気にかけている。傑の友だちであり若緒の恋人でもある城山大河が、ドライブデート中に事故を起こしたのだ。後遺症で、若緒は左足を引きずるようになってしまった。以来、家族ぐるみの付き合いだった大河を巡って、三上家はどこかぎくしゃくしている。教員の父は大河に一定の理解を示すが、納得いかない母は突っかかり、喧嘩が絶えない。ハンデを負いながら、若緒は就活に苦戦中。家族に、友に、どう接すればいいのか。思い悩む傑は…。

小野寺史宜著 祥伝社 1,650円(税込)

ブラックボックス

2021年 第166回 芥川賞受賞

ずっと遠くに行きたかった。今も行きたいと思っている。自分の中の怒りの爆発を、なぜ止められないのだろう。自転車便のメッセンジャー、サクマは都内を今日もひた走る。

砂川文次著 講談社 1,705円(税込)

母の待つ里

家庭も故郷もない還暦世代の3人の男女の元に舞い込んだ“理想のふるさと”への招待。奇妙だけれど魅力的な誘いに半信半疑で向かった先には、かけがえのない“母”との出会いが待っていた。彼らが見出す人生の道しるべとは?あなたを迎えてくれる場所が、ここにある。至高の名作誕生!

浅田次郎著 新潮社 1,760円(税込)

六人の嘘つきな大学生

嘘つき学生と、嘘つき企業の、意味のない情報交換--それが就活。成長著しいIT企業「スピラリンクス」の最終選考。最終に残った六人が内定に相応しい者を議論する中、六通の封筒が発見される。そこには六人それぞれの「罪」が告発されていた。犯人は誰か、究極の心理戦スタート。

浅倉秋成著 KADOKAWA 1,760円(税込)

日本人の宿題 歴史探偵、平和を謳う

「昭和史」シリーズをはじめ、「昭和史の語り部」として多くの戦争関連書を遺した半藤一利さん。没後一年を機に、半藤さんが現代日本人に伝えようとした「大切なこと」を、生前のNHKラジオ番組での「語り」をもとに再構成して書籍化。各章末では、盟友・保阪正康氏が「半藤昭和史」の意義について解説する。

半藤一利著 NHK出版 968円(税込)

特許やぶりの女王 弁理士・大鳳未来

特許権を盾に企業から巨額の賠償金をふんだくっていた凄腕の女性弁理士・大鳳未来が、相方の弁護士と共に防衛専門の特許法律事務所を立ち上げた。今回のクライアントは、映像技術の特許権侵害を警告され、活動休止を迫られる人気VTuber・天ノ川トリィ。調査に乗り出した未来は、さまざまな企業の思惑が絡んでいることに気づき、いちかばちかの秘策に…!2022年第20回『このミステリーがすごい!』大賞大賞受賞作。

南原詠著 宝島社 1,540円(税込)

捜査線上の夕映え

大阪の場末のマンションの一室で、男が鈍器で殴り殺された。金銭の貸し借りや異性関係のトラブルで、容疑者が浮上するも…。コロナ禍を生きる火村とアリスがある場所で直面した夕景は、佳き日の終わりか、明日への希望か。圧倒的にエモーショナルな本格ミステリ。

有栖川有栖著 文藝春秋 1,980円(税込)

海をあげる

おびやかされる、沖縄での美しく優しい生活。幼い娘を抱えながら、理不尽な暴力に直面してなおその目の光を失わない著者の姿は、連載中から大きな反響を呼んだ。ベストセラー『裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち』から3年、身体に残った言葉を聞きとるようにして書かれた初めてのエッセイ集。

上間陽子著 筑摩書房 1,760円(税込)