星落ちて、なお

鬼才・河鍋暁斎を父に持った娘・暁翠の数奇な人生とは――。父の影に翻弄され、激動の時代を生き抜いた女絵師の一代記。不世出の絵師、河鍋暁斎が死んだ。残された娘のとよ(暁翠)に対し、腹違いの兄・周三郎は事あるごとに難癖をつけてくる。早くから養子に出されたことを逆恨みしているのかもしれない。暁斎の死によって、これまで河鍋家の中で辛うじて保たれていた均衡が崩れた。兄はもとより、弟の記六は根無し草のような生活にどっぷりつかり頼りなく、妹のきくは病弱で長くは生きられそうもない。河鍋一門の行末はとよの双肩にかかっているのだった――。第165回直木賞受賞。

澤田瞳子著 文藝春秋 1,925円(税込)