青嵐の坂

扇野藩は度重なる災害により破綻寸前の危機に瀕していた。藩主の千賀谷定家は困難を脱するために郡代の桧弥八郎を中老に抜擢、藩政改革にあたらせた。しかし、厳しい年貢の取り立ては農民の離村を招き、果てに弥八郎は賂の疑いで切腹してしまう。娘の那美は偏屈で知られる親戚の矢吹主馬のもとに身を寄せるが、彼には生前の弥八郎から託された、ある使命があった。悪に屈せず、信念を貫いた武士を描く、清廉極まる時代小説。

葉室麟著 KADOKAWA 748円(税込)