宇喜多の捨て嫁

第92回オール讀物新人賞受賞作品、待望の単行本化!

本書ではほかに五編の短編を収録。いずれも戦国時代の備前・備中を舞台に、昨日の敵は味方であり明日の敵、親兄弟でさえ信じられないという過酷な状況でのし上がった、乱世の梟雄・宇喜多直家をとりまく物語を、視点とスタイルに工夫をこらしながら描く。直家の幼少時の苦難と、彼でしか持ちえない不幸な才能ゆえの大罪(「無想の抜刀術」)、若く才能あふれる城主として美しい妻を迎え子宝にも恵まれた直家に持ちかけられた試練(「貝あわせ」)、直家の主・浦上宗景の陰謀深慮と直家の対決の行方(「ぐひんの鼻」)、直家の三女の小梅との婚姻が決まった宋景の長男の浦上松之丞の捨て身の一撃(「松之丞の一太刀」)、芸の道に溺れるあまり母親をも見捨てて直家の家臣となった男(「五逆の鼓」)と、いずれも直家のほの暗い輪郭を照らしながら、様々な情念を浮かび上がらせていく――時代作家としてはもちろん、ピカレスクの書き手としても十分才能を感じさせる意欲作である。

木下昌輝著  文藝春秋  1836円(込)

 

ソロモンの偽証 第3部  上、下

空想です―。弁護人・神原和彦は高らかに宣言する。大出俊次が柏木卓也を殺害した根拠は何もない、と。城東第三中学校は“問題児”というレッテルから空想を作り出し、彼をスケープゴートにしたのだ、と。対する検事・藤野涼子は事件の目撃者にして告発状の差出人、三宅樹理を証人出廷させる。あの日、クリスマスイヴの夜、屋上で何があったのか。白熱の裁判は、事件の核心に触れる。

 

宮部みゆき 著  新潮社   上 853円(込) 下 907円(込)

Nのための

 

超高層マンション「スカイローズガーデン」の一室で、そこに住む野口夫妻の変死体が発見された。現場に居合わせたのは、20代の4人の男女。それぞれの証言は驚くべき真実を明らかにしていく。なぜ夫妻は死んだのか?それぞれが想いを寄せるNとは誰なのか?切なさに満ちた、著者初の純愛ミステリー。

 

湊 かなえ著  双葉社  680円(込)

紙の月

ただ好きで、ただ会いたいだけだった。わかば銀行から契約社員・梅澤梨花(41歳)が1億円を横領した。正義感の強い彼女がなぜ? そして――梨花が最後に見つけたものは?! あまりにもスリリングで狂おしいまでに切実な、角田光代の傑作長篇小説。各紙誌でも大絶賛され、映像化もされた第25回柴田錬三郎賞受賞作が、遂に文庫化!

 

 

角田光代著  角川春樹事務所  637円(込)

マスカレード・イブ

ホテル・コルテシア大阪で働く山岸尚美は、ある客たちの仮面に気づく。一方、東京で発生した殺人事件の捜査に当たる新田浩介は、一人の男に目をつけた。事件の夜、男は大阪にいたと主張するが、なぜかホテル名を言わない。殺人の疑いをかけられてでも守りたい秘密とは何なのか。お客さまの仮面を守り抜くのが彼女の仕事なら、犯人の仮面を暴くのが彼の職務。二人が出会う前の、それぞれの物語。「マスカレード」シリーズ第2弾。

 

東野圭吾著  集英社   648円(込)

マスカレード・ホテル

 

都内で起きた不可解な連続殺人事件。容疑者もターゲットも不明。残された暗号から判明したのは、次の犯行場所が一流ホテル・コルテシア東京ということのみ。若き刑事・新田浩介は、ホテルマンに化けて潜入捜査に就くことを命じられる。彼を教育するのは、女性フロントクラークの山岸尚美。次から次へと怪しげな客たちが訪れる中、二人は真相に辿り着けるのか!?いま幕が開く傑作新シリーズ。

 

東野圭吾著    集英社   821円(込)

銀翼のイカロス

 

半沢直樹シリーズ第4弾、今度の相手は巨大権力! 新たな敵にも倍返し! ! 頭取命令で経営再建中の帝国航空を任された半沢は、 500 億円もの債権放棄を求める再生タスクフォースと激突する。 政治家との対立、立ちはだかる宿敵、行内の派閥争い ――プライドを賭け戦う半沢に勝ち目はあるのか?

 

 

池井戸 潤著   ダイヤモンド社  1620円(込)

海賊とよばれた男  上、下

 

一九四五年八月十五日、敗戦で全てを失った日本で一人の男が立ち上がる。男の名は国岡鐡造。出勤簿もなく、定年もない、異端の石油会社「国岡商店」の店主だ。一代かけて築き上げた会社資産の殆どを失い、借金を負いつつも、店員の一人も馘首せず、再起を図る。石油を武器に世界との新たな戦いが始まる。

 

百田尚樹著  講談社   各810円(込)

荒神

時は元禄の半ば。陸奥(東北)の小藩にある山深き村が、一夜にして壊滅状態となった。隣り合う二藩の反目、お家騒動、奇異な風土病など、様々な事情の交錯するこの土地に、その“化け物”は現れた。権勢をふるう藩主側近・弾正、その兄と分かち難い絆を持つ妹・朱音、朱音を慕う朴訥な村人たちと用心棒・宗栄、山里の少年・蓑吉、病の本復した小姓・直弥、謎の絵師・圓秀……山のふもとに生きる北の人びとは突如訪れた“災い”に何を思い、いかに立ち向かうのか――!? その豊潤な物語世界は現代日本を生きる私達に大きな勇気と希望をもたらす。著者渾身の冒険群像活劇。

 

宮部みゆき著   朝日新聞社  1944円(込)

 

 

パラドックス13

 

13時13分13秒、街から人が消えた。無人の東京に残されたのは境遇も年齢も異なる13人の男女。なぜ彼らが選ばれたのか。大雨と地震に襲われる瓦礫の山と化した街。そして生き抜こうとする人達の共通項が見えてくる。世界が変れば善悪も変る。殺人すらも善となる。極限状態で見えてくる人間の真理とは。

 

東野圭吾著  講談社  896円(込)