一人称単数

ビートルズのLPを抱えて高校の廊下を歩いていた少女。同じバイト先だった女性から送られてきた歌集の、今も記憶にあるいくつかの短歌。鄙びた温泉宿で背中を流してくれた、年老いた猿の告白。スーツを身に纏いネクタイを結んだ姿を鏡で映したときの違和感―そこで何が起こり何が起こらなかったのか。驚きと謎を秘めた8篇。

村上春樹著 文藝春秋 792円(税込)

名残の袖 仕立屋お竜

鶴屋の依頼で油商・加島屋に通うことになったお竜。加島屋の妻・おみねは辻斬りに遭って死んでいた。お竜が主人の着物を縫っていると見つめる気配が。主人には幼い息子・彦太郎が残され、その気配の先には母の面影を偲ぶ子供の瞳があったのだ。彦太郎と過ごす日々に心和むお竜だが、加島屋には魔の手が迫り始めていて…。

岡本さとる著 文藝春秋 770円(税込)

ひこばえ 上下

小学校2年生の時に別れたきりの父が亡くなった。報せを受けた長谷川洋一郎は、48年間の空白を胸に、父の人生に向き合おうとする。一人暮らしだった父は、死の直前に「自分史」を書こうと思い立っていたらしい。なぜ?そして、誰に読ませたかったのか…。

上巻 重松清著 朝日新聞出版 891円(税込)
下巻 重松清著 朝日新聞出版 891円(税込)

探偵はもう、死んでいる 8

TVアニメ第2期『探偵はもう、死んでいる。Season2』制作決定!地上一万メートルの上空、ハイジャックされた飛行機の中で始まった物語は一つの終わりを迎えた。だが、それで俺達の物語が終わるわけもなく、名探偵を取り戻すという途方もない目的のため、新たに動き始めるが……?

二語十著 KADOKAWA 726円(税込)

暴虎の牙 上下

「極道がなんぼのもんじゃ!」博徒たちの間に戦後の闇が残る昭和57年の広島呉原―。愚連隊「呉寅会」を束ねる沖虎彦は、ヤクザも恐れぬ圧倒的な暴力とカリスマ性で勢力を拡大していた。広島北署二課暴力団係の刑事・大上章吾は、その情報網から、呉寅会と呉原最大の暴力団・五十子会との抗争の臭いを嗅ぎ取る。賭場荒らし、シャブ強奪…酷薄な父からの幼少期のトラウマに苦しみ暴走を続ける沖を、大上は止められるのか?

柚月裕子著 KADOKAWA 上748円(税込)
柚月裕子著 新潮社 下792円(税込)

傲慢と善良

婚約者・坂庭真実が忽然と姿を消した。その居場所を探すため、西澤架は、彼女の「過去」と向き合うことになる―。彼女は、なぜ姿を消したのか。浮かび上がる現代社会の生きづらさの根源。圧倒的な支持を集めた恋愛ミステリの傑作が、遂に文庫化。

辻村深月著 朝日新聞出版 891円(税込)

不可能な過去

「一事不再理」。刑事裁判で判決が確定した人間は、同じ事件で二度裁かれることはないという原則だ。その無罪を勝ち得た被告から、裁判の十年後、当時の担当刑事に手紙が届いた。「あの事件の犯人は、本当は私でした」と。相談を受けた追跡捜査係の沖田は、被告の足跡を辿り始めるが…。一方、神奈川県警に新設される追跡捜査班のアドバイザーとして招かれた西川は、ある未解決事件が気になっていた。二つの不審な事件がぶつかる時、複雑に絡み合った謎が解き明かされる!書き下ろし長編警察小説。

堂場瞬一著 角川春樹事務所 902円(税込)

荒ぶるや 空也十番勝負9

京の都。祇園感神院の西ノ御門前で空也は、往来の華やかさに圧倒されていた。法被を着た白髪髷の古老が空也の長身に目をつけ、ある提案を持ちかける。姥捨の郷では眉月らが空也の到着を待ちわび、遠く江戸の神保小路ではおこんや磐音がその動向を案じる中、武者修行は思わぬ展開を迎えることに。そこへ、薩摩の影が忍び寄り…。

佐伯泰英著 文藝春秋 847円(税込)

三千円の使いかた

就職して理想の一人暮らしをはじめた美帆(貯金三十万)。結婚前は証券会社勤務だった姉・真帆(貯金六百万)。習い事に熱心で向上心の高い母・智子(貯金百万弱)。そして一千万円を貯めた祖母・琴子。御厨家の女性たちは人生の節目とピンチを乗り越えるため、お金をどう貯めて、どう使うのか?

原田ひ香著 中央公論新社 770円(税込)

希望の糸

小さな喫茶店を営む女性が殺された。加賀と松宮が捜査しても被害者に関する手がかりは善人というだけ。彼女の不可解な行動を調べると、ある少女の存在が浮上する。一方、金沢で一人の男性が息を引き取ろうとしていた。彼の遺言書には意外な人物の名前があった。彼女や彼が追い求めた希望とは何だったのか。

東野圭吾著 講談社 968円(税込)