しろがねの葉

戦国末期、シルバーラッシュに沸く石見銀山。天才山師・喜兵衛に拾われた少女ウメは、銀山の知識と秘められた鉱脈のありかを授けられ、女だてらに坑道で働き出す。しかし徳川の支配強化により喜兵衛は意気阻喪し、庇護者を失ったウメは、欲望と死の影渦巻く世界にひとり投げ出された―。繰り返し訪れる愛する者との別れ、それでも彼女は運命に抗い続ける。第168回直木賞受賞作。

千早茜著 新潮社 1,870円(税込)

日本史を暴く 戦国の怪物から幕末の闇まで

歴史には裏がある。古文書を一つずつ解読すると、教科書に書かれた「表の歴史」では触れられない意外な事実が見えてくる。明智光秀が織田信長を欺けた理由、信長の遺体の行方、江戸でカブトムシが不人気だった背景、忍者の悲惨な死に方、赤穂浪士が「吉良の首」で行った奇妙な儀式、漏洩していた孝明天皇の病床記録…。古文書と格闘し続ける著者が明らかにした、戦国、江戸、幕末の「歴史の裏側」がここにある。

磯田道史著 中央公論新社 924円(税込)

キドナプキディング 青色サヴァンと戯言遣いの娘

私立澄百合学園に通う玖渚盾、十五歳。“パパの戯言”と“ママの法則”を携えた「平凡な女子高生」が、人類最強の請負人・哀川潤に誘拐されて、玖渚機関の牙城“玖渚城”に送り届けられてしまう!彼女を待ち受けていたのは、青髪青眼の少女たちとの邂逅と悲惨な殺人事件。はたして盾は謎を解き、無事に帰還することができるのか?新青春エンタの傑作“戯言シリーズ”、大団円の先の最新作、ここに結実!!

西尾維新著 講談社 1,155円(税込)

荒地の家族

元の生活に戻りたいと人が言う時の「元」とはいつの時点なのか―。あの災厄から十年余り、生活も仕事道具も攫われ、妻を喪った男はその地を彷徨い続けた。仙台在住の書店員作家が描く、止むことのない渇きと痛み。第168回芥川賞受賞。

佐藤厚志著 新潮社 1,870円(税込)

審議官 ー隠蔽捜査9.5ー

米軍から特別捜査官を迎えた件で、県警本部長とともに警察庁長官官房に向かった竜崎。審議官からの責任追及に、竜崎のとった行動とは―。さらに竜崎異動の余波は、大森署、神奈川県警、そして家族にも…。名脇役たちも活躍するスピンオフ9編を収録。

今野敏著 新潮社 1,760円(税込)

この世の喜びよ

幼い娘たちとよく一緒に過ごしたショッピングセンター。喪服売り場で働く「あなた」は、フードコートの常連の少女と知り合う。かつての子育ての日々を思い出す女性―「この世の喜びよ」。ハウスメーカーの建売住宅にひとり体験宿泊する主婦―「マイホーム」。父子連れのキャンプに叔父と参加した少年―「キャンプ」。

井戸川射子著 講談社 1,650円(税込)

成熟スイッチ

「昨日とは少し違う自分」へ。日大理事長就任、「老い」との近づき方…人気作家による9年ぶり待望の人生論新書!

林真理子著 講談社 924円(税込)

名探偵のままでいて

かつて小学校の校長だった切れ者の祖父は、七十一歳となった現在、幻視や記憶障害といった症状の現れるレビー小体型認知症を患い、介護を受けながら暮らしていた。しかし、孫娘の楓が身の回りで生じた謎について話して聞かせると、祖父の知性は生き生きと働きを取り戻すのだった!そんな中、やがて楓の人生に関わる重大な事件が…。2023年第21回『このミステリーがすごい!』大賞大賞受賞作。

小西マサテル著 宝島社 1,540円(税込)

ワンダーランド急行

ある朝、通勤と反対方向の電車に、魔が差して乗ってしまった。山の中をさまよい、戻ってくると、誰もマスクをしていない!似ているが…ここは私の世界じゃない。コロナ禍の行動制限中に日経連載。迷い込んだ異世界が現実を先取り?

荻原浩著 日本経済新聞出版 2,090円(税込)

岸辺露伴は倒れない 短編小説集

人気漫画家・岸辺露伴。リアリティには徹底的にこだわり、妥協なき漫画制作に取り組む男が遭遇する数々の奇譚とは……!?最上の音楽を見出そうとした男の末路(「黄金のメロディ」)。実写化を許諾したが故に起こる悲劇(「原作者 岸辺露伴」)。毎年六月に住人が蒸発する家(「5LDK○○つき」)。3つの物語を収録した小説集。

荒木飛呂彦著 集英社 946円(税込)